「四球を出すな」は無意味な声かけ 新潟の中学チームが貫く“常識破りの方針”
中学軟式「新潟クラウン」が優先する“個々のベストな投球”
四球を出すな。ゴロは体の正面で捕れ。小、中学生の選手がプレーするグラウンドで聞く指導者の声。新潟市の中学軟式野球チーム「新潟クラウン」は真逆の方針を貫く。四球は気にせず、守備では体の横での捕球やジャンピングスローなどを勧める理由があった。
先頭打者を四球で出塁させても、連続四球を許しても、失点するとは限らない。新潟クラウンの投手は四球を出すことを過度に気にしない。チームを率いる江藤大雅監督は「四球は何個出してもOKです。経験が浅い投手は連発するケースもありますけど」と笑う。
優先するのは四球を出さないようにするコントロールではなく、個々の投手がベストの球を投げるところにある。肩や肘の消耗をデータ化して怪我を予防しながら、それぞれが最も球に力が伝わる投球フォームをつくっていく。
経験が浅い投手は、試合で四球が続く場合もある。ただ、「四球を出すな」と厳しく言われたケースと、「何個出してもOK」と送り出された時では、結果が同じでも選手の成長曲線に違いが生まれると江藤監督は考える。
「試合を壊したと泣いてしまう投手もいますが、もう二度と同じ思いをしたくないと意識を高く持って練習するようになります。四球を出して指導者に怒られる投手は、自分を否定して終わってしまいます」