米国志向の選手と「話が合わない」 危機感で鷹を退団…自腹留学で欲した“学び”
倉野信次氏は今季レンジャーズ傘下マイナーで指導…日米のプロで投手コーチは初
学びが必要なのは選手だけではない。ソフトバンクで13年間投手コーチを務めた倉野信次さんは昨年、レンジャーズ傘下のマイナーリーグで指導者研修を受けた。報酬はなく、渡航費も滞在費も自己負担だった。あえて厳しい道を選んだ背景にあったのは「選手と話が合わなくなってきた」という危機感だった。
海外FA権を行使し、メッツに移籍した千賀滉大投手をはじめ、ソフトバンクの投手陣を長年指導してきた倉野さんは米国での研修の姿勢や指導論が評価され、今季はレンジャーズでルーキーリーグの育成コーチに就任した。日米2つのプロ野球チームで投手コーチをするのは史上初のケースだという。
倉野さんは指導者として、日本球界で確固たる地位を築いた。しかし、3、4年ほど前から将来に強い不安を抱いていた。
「選手と話が合わなくなることが出てきました。選手の興味が米国に向き、自分の知らない情報を聞く頻度が増えてきました」
倉野さんは現役時代から米国の野球に関心があり、指導者になってからも漠然と米国で学びたい意思を持っていた。だが、選手との距離を感じ「間接的にではなく、米国の野球を肌で感じなければならない」と考えた。