MLB通ドラマー、オカモト“MOBY”タクヤの記者体験リポート(パドレス編)
メジャーに名を刻む伝説のスカウトと対面
前半戦が佳境に差し掛かってきたメジャーリーグ。各地で熱戦が繰り広げられる一方で、日本人選手が次々と故障者リスト(DL)入りして、3日現在メジャー登録25人枠に入るのはドジャース前田健太投手、ダイヤモンドバックス平野佳寿投手、パドレス牧田和久投手のみとなった。そんな“異常事態”を迎える直前の6月1日から4日間、Full-Countでは特別リポーターに、ロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー兼マネージャー、オカモト“MOBY”タクヤ氏を迎えて現地取材を敢行した。
今季からコラボするFMおだわらで放送中の野球と音楽をつなげるラジオ「NO BASEBALL, NO LIFE.」でメインMCを務め、昨季は動画配信サービス「DAZN」のメジャー中継で解説を務めたメジャー通のオカモト氏。強行スケジュールで行われた記者体験リポート、最終回をお届けする。
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MLB記者体験はいよいよ最終日。8時にホテルを出発し、10時半に出発の飛行機でサンディエゴへ。ホテルの近所にあるイタリア人街、通称“リトル・イタリー”へランチに繰り出したところ、シカゴ・カブスの中心選手にしてWBCイタリア代表の経験を持つアンソニー・リゾなど、イタリア系プロスポーツ選手のバナーが街の至るところに掲げてありました。
15時過ぎにペトコパーク入り。街のど真ん中かつ海の近くにあり、例えるならマツダスタジアムが横浜スタジアムの場所にある、といえば伝わるでしょうか。球場入りすると、同行している記者の方が「斎藤隆さんがこちらに来てくれます!」と……。斎藤さんは現在パドレスのベースボールオペレーションアドバイザー兼環太平洋アドバイザーという肩書きで、職員として勤務していらっしゃいます。シュッとした出で立ちに、最近復刻発売されたミズノ「Mライン」のスニーカーを合わせた格好は非常にお洒落! その斎藤さんから、同行されている記者さんとも縁の深い、もはやレジェンドと言っても過言ではないスカウト歴50年以上の超ベテラン、ドン・ウェルキーさんをご紹介いただきました。1965年にレッズでキャリアをスタートさせ、数々の球団を渡り歩く過程では、1992年と1993年のトロント・ブルージェイズのワールドシリーズ制覇にも貢献した人物。この日はちょうどMLBドラフト初日ということもあり、勝負服の赤いジャケットを着てご登場です。今回の仕事をいただかなければ一生お会いすることのなかったであろう方々とお会いできる、この貴重な時間を改めて噛みしめました……。
15時50分頃、パドレスのクラブハウスへ。今回の目的の1つだった牧田和久投手への取材は、直前に牧田投手がマイナー降格になってしまったために残念ながら実現ならず。それでも、きっと他にもいい取材対象となる選手はいるはずだ!と意気込んで乗り込んだのですが、選手は練習中のため、ほとんどいません。コーチやスタッフがクラブハウスとフィールドレベルを忙しそうに行き来しているのですが、その中に……あの方は間違いなく、あの大打者……現在はパドレス打撃コーチを務めるマーク・マグワイアの姿が……。恐れ多すぎて話しかけることはできず、万感の思いを込めて、すれ違いざまに会釈をしました。
ボクがMLBを見だしたのは1980年代後半。その頃はオークランド・アスレチックスの全盛期でした。ホセ・カンセコと「バッシュ・ブラザーズ」を組んでいたマグワイアのポスターを自分の部屋に飾っていたほど。高校1年(1992年)でアメリカへホームステイした時、滞在先のミネアポリスで初めてMLBの試合を現地観戦しました。この時のカードがツインズVSアスレチックス。試合でマグワイアのホームランを目の当たりにし、翌日には早速マグワイア・モデルのファーストミットをスポーツショップで購入。高校時代はそれを大事に使っていた(軟式)高校球児でした……。あの頃の自分に教えてあげたい……オレは25年後、マグワイアと接近遭遇することになるんだ、と……。