プレーを“制限”してしまう体の使い方 投打で見直すべき「股関節」の重要性
関メディベースボール学院が実践…最大出力を生む股関節の動き
今年度、ヤングとポニーの2つの少年野球リーグで全国制覇を成し遂げた強さは、「股関節」にあった。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が27日、「大人のための少年野球塾2023」を開催。小・中学生への指導経験が豊富な“凄腕コーチ”12人を5夜連続で招くオンラインイベントで、1日目に出演した関メディベースボール学院(以下、関メディ)の井戸伸年総監督と藤田真悟トレーナーは、野球のあらゆる動きにおいて「股関節が最も大切になる」と説いた。
関メディでは選手の体の大きさにかかわらず、個々が持つ力を最大限発揮するためのトレーニングや体の使い方に重点を置いている。チームを率いる井戸総監督は「最大出力を出せるようになることで、野球の楽しみが広がると考えています。トレーナーをはじめとする指導者が、専門的な知識を選手に伝えていくことが私たちのチームのやり方です」と語った。
トレーナーを務める藤田氏は「選手たちは下半身を使う大切さを知り、筋力トレーニングもしています。ただ、その努力がパフォーマンスに結び付いていないケースが多いです。下半身を使っていても、力を出すタイミングが打撃のインパクトや投球のリリースと合っていないので、バットやボールに力が十分に伝わっていません」と指摘する。
最大出力を出すために重要視しているのが股関節。こう説明する。
「地面の上に立っている限り、原動力は足です。どこに行くにしても、足が動かなければ重心は動きません。動きやパワーは足でつくり出しているわけです。そのパワーを体幹に伝え、そこから枝となる腕に力が伝わっていきます。足と体幹をつなげているのが股関節であり、その役割は重要になります」
重心点をスムーズに投げたい方向へ動かすことを重視
例えば投球では、まず股関節に体重を乗せて軸足で立てるかが大切になる。そこから投げたい方向へ、強く移動することでパワーが生まれる。藤田氏は「軸足で投げたい方向へ動くことが理想です。上半身が倒れて移動すると出力が弱くなります」と話す。その時、「体を突っ込むな」と指摘する指導者がいるが、逆効果になるケースがあるという。
「何かを制限されると、選手は体をうまく動かせなくなります。私は、動かすべきところがどこなのかを伝えます。それは、骨盤の中にある体の重心点。重心点をスムーズに投げたい方向へ動かすことを重視しています」
藤田氏は、力が足から生み出されると考えているため、投手に対して「腕を振れ」というアドバイスはしない。足と比べると腕の力は弱く、腕に力を入れるとコントロールがばらつきやすいという。
右投げであれば、軸足となる右足で左側の骨盤を押すように股関節を使って投げると、投球も送球も力強さが増す。井戸総監督は「股関節がうまく使えるようになると、投球も打撃も全てのパフォーマンスが上がります」と力を込める。
筋力がついても飛距離が伸びない、球速が上がらないと悩む選手は、股関節の使い方を見直す必要があるかもしれない。
12月1日(金)まで申し込み受付中…参加費は無料
Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では12月1日までの期間、午後8時からオンラインイベント「凄腕コーチ12人が技術指導 大人のための少年野球塾2023 ~子どもを伸ばすための集中講座~」を5夜連続で開催中。小・中学生の現場で豊富な実績を持つ指導者や、話題の野球塾コーチ・トレーナー12人が出演し、選手たちを成長へ導くドリルやトレーニングを実技解説する。参加費は無料。最終日の午後7時まで参加申し込みは可能。
【大人のための少年野球塾2023・詳細】
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
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(間淳 / Jun Aida)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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