球速120km超の“逸材小6”を守備位置変更のワケ NPBジュニアに不可欠な「重要能力」

楽天ジュニアの練習の様子【写真:川浪康太郎】
楽天ジュニアの練習の様子【写真:川浪康太郎】

楽天ジュニアに精鋭16人集結…選考で重視した“センターライン”の見極め

 12月26日に開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」で、3度目の優勝を狙う東北楽天ゴールデンイーグルスジュニアには、普段所属するチームでのポジションと異なるポジションを守る選手が複数人いる。社会人時代に高校以来の投手に転向してNPB入りを果たした球団OB・寺岡寛治監督に、その狙いを聞いた。

 寺岡監督は、高校時代に右肘を故障した影響で投手から外野手に転向。社会人の途中で投手に再転向し、その後独立リーグの石川ミリオンスターズを経て楽天に入団した。自身がコンバートをきっかけにプロへの扉を開いたとあって、ポジション適性の見極めには強いこだわりを持っている。

 楽天ジュニアでは、普段は投手がメインの高橋樹選手(6年=福島・三春軟式野球スポーツ少年団)を遊撃手、捕手がメインの松田勇天選手(6年=秋田・湯沢東野球スポーツ少年団)を中堅手として起用。それぞれの能力値を見た上で適性があると判断した。

 そもそも、セレクションの際はセンターライン(投手、捕手、二塁手、遊撃手、中堅手)を固めることを第一優先にして選手を選考した。投手には球速や制球力を含めた完成度、捕手には「投げる能力」の高さを求める。二遊間と中堅を守る野手は確かな技術と走力が欠かせない。高橋くん、松田くんはこの“難関”をくぐり抜けた。

楽天ジュニアの高橋樹【写真:川浪康太郎】
楽天ジュニアの高橋樹【写真:川浪康太郎】

野手に求める「走れる子」…二遊間と中堅は「動きが悪いと守れない」

 寺岡監督が「小学生は基本的に、走れる子を野手にしたいと考えています」と話すように、野手を評価する上で特に重視しているのが「走力」だ。「動きが悪いと守れない」という二遊間と中堅はなおさら必須になる。

 高橋くんは投手としての能力も高いが、走力を買われて遊撃に就くことになった。11月中旬に楽天イーグルス蔵王球場(宮城県蔵王町)で行われた紅白戦には遊撃でスタメン出場し、途中から救援登板。守備はもちろん、スタンドへ運ぶ本塁打と120キロ前後の速球を披露して投打で活躍した。

「普段はピッチャーをやることの方が多いけど、ショートが好き。バッティングでも守備でも活躍できるショートになりたい」と高橋くん。「目標とする選手」には、中日と楽天で内野の名手として活躍した楽天ジュニアコーチ・岩崎達郎さんの名前を挙げる。岩崎コーチから直接、遊撃守備の極意を教わったことで、合宿期間中に守備力の向上を実感しているという。

 経験に基づいて見極められた精鋭小学生16人。率いる寺岡監督は「守り勝つ野球が楽天ジュニアのチームカラー。打ち勝つよりも、1点をやらない野球を目指す。隙のないチームを作って優勝します」と力強く誓った。

(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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