週6で野球漬けも…あえて「ズルさせる」 中日ジュニア主将を支える親の“引き算”
NPBジュニアTに挑む小森遥貴主将「レギュラーを取るためなら」
26日に神宮球場とベルーナドームで開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」で、3年ぶり5度目の優勝を目指す中日ドラゴンズジュニア。そんな有望な小学生が集うチームの先頭に立つのが小森遥貴主将だ。160センチと大柄な体格ではないが、大きな声で存在感を放つ12歳の成長には、たゆまぬ努力と親の支えがあった。
練習中でも試合中でも、仲間に声をかけ続ける姿が印象的だ。凛々しい表情でチームをまとめる小森くんは、指導陣や選手たちからの信頼も厚い。山北茂利監督は「成績を残せなかったとしても、印象に残る活躍をする選手。小森が雰囲気作ってくれるので、プレーも期待していますが、そういった方面でも期待しています」と太鼓判を押す。
そんな信頼を得られた要因に、日々のすさまじい努力がある。1週間の予定はまさに野球一色。土日の練習以外に、月曜日はドラゴンズベースボールアカデミーで練習。火、水曜日は体幹を鍛える教室に通い、木曜日には瞬発力を高める教室に通う。週6日間、野球のための習い事をかけ持つ。さらに、平日は朝6時に起き、父とティーバッティング。家に帰ると、父からLINEで送られてくる練習メニューをこなす“過密ぶり”だ。
「疲れる日もあります。でもレギュラーを取るためなら、練習も頑張れます」
12歳とは思えない落ち着いた受け答えが印象的だ。両親も目を見張るほどの向上心があり、全ての習い事は小森くん自身から「やりたい」と申し出たという。ハードワークを見守る父・達也さんは「疲れている日や、やりたくない日はもちろんあると思うので、そういう日は練習メニューを送らないようにしています。後は、自分で考えてほしいという意味もありますね」と語り、野球を大好きなままでいてほしいという親心も垣間見えた。
頑張りすぎるからこそ「ズルをさせます」
母・愛沙(あいさ)さんも、毎日くたくたで帰ってくる我が子を全力でサポートする。「やっぱり見ていたらすぐに分かりますからね。疲れているときは休養日を作ったりするのは、私の役目かなと思うので……。好きなものをいっぱい食べさせてあげたり」。まだ小学生にはトレーニングのやめ時が分からない子もいる。手綱を締めたり、緩めたりしてあげるのも親の役目だ。
責任感が強いからこそ、メリハリのつけ方も伝える。「今日は休んでみたらと提案してみたり。頑張りすぎてしまうのでズルをさせます(笑)。でも、逆に頑張っている時にしか言わないです」。全力でプレーする我が子を見つめながら、明るく語ってくれた。
山北監督も選手たちの体調には気を遣う。10月からチームが始動し、毎週末集まって午前中は練習、午後から試合を繰り返してきた。「プロの投手が中6日で投げるのと同じペースになるわけですから。無事に(所属)チームに返してあげなきゃいけない責任もあります」と語る。
「練習をしない日も作りました。練習しないと不安だけれど、そこは我慢して。保護者の皆さんにも自分のチームの練習にも行かず、野球から離れてほしいと伝えました。親御さんも早起きしてお弁当作ったり大変ですから。休養日も大事かなと」
それでも竜の主将には、休むべき時は休みながらも、誰にも負けない練習量を積んできた自負がある。「親が支えてくれているので頑張れます」。真面目に受け答えてきた12歳の顔に、小学生らしい笑顔が溢れた。目標は日本一。両親の献身的なサポートを受け、まだまだ成長する。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)
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