阪神・大山が継続する「無限大」の素振り 情報溢れる現代こそ…立ち返る“野球の原点”

阪神・大山悠輔が子どもたちに伝えたい野球の“本質”「たくさん経験してほしい」
憧れのプロ野球選手になるには、どのような練習やトレーニングを行えばいいのか? 野球の技術、理論は近年大きく変わり、情報も溢れる時代になった。阪神の主砲・大山悠輔内野手は「僕が思うのはやっぱり原点。素振りで得られるものはたくさんある」と、少年少女にアドバイスを送る。
現在はプロ野球選手や専門家の理論を、インターネットなどで簡単に手にできるようになった。さまざまな情報を得られることに、大山は「見極める、取捨選択は大事です。ですが、まずはやってみる。それも練習の1つになるので」と指摘。自身が子どもの頃は「雑誌や指導者の指導しかなかった。それを考えると、今の子どもたちは良い環境にはいると思います」と技術を向上させるチャンスは広がっていると見ている。
そんななか、大山が今でも大事にしているのが「素振り」だという。プロ野球選手になっても続けている基礎練習だが「素振りはシンプルに見えますが、やり方次第で無限大だと思います」と効果を語る。やみくもにバットを振るのではなく、直球や変化球、コース、状況を思い浮かべながら行うことを勧めている。
「ボールを打つことも大事ですが、ボールを打つとまずは“当てる”ことを意識すると思います。自分のマックスで振ることは難しい。小学生や中学生ならまずは、バットを強く振ってほしい。そのなかで例えば170キロの直球を意識したり、外角変化球など自分で想像しながら。調子が良い時はどんなスイングの音がしているのか。色々な発見があると思います」
素振りは1人で行えることもメリットのひとつ。相方を探す必要はなく、群れることなく黙々と練習する能力は今の時代に必要になってくる。歴代の先輩からも「素振り」の重要性を学んできた。ドラフト1位で人気球団の阪神に入団し、ファンからの期待に応え続ける実力とメンタリティは素振りで培ってきた。
自身の経験を踏まえたうえで、大山が子どもたちに最も伝えたいことは野球を始めた頃の気持ちだという。
「野球を続けていくと、勝ち負けや数字を求めるようになる。どこかで楽しかった野球が、そう思えなくなる時期がくる。だからこそ、素直に楽しんでもらいたい。ホームランを打った、三振を取れた、ファインプレーできた。そういう経験をしているからこそ、僕もプロになってから初心に戻れる瞬間があります。夢中でボールを追いかけた、純粋な素直な気持ちを子どもたちはたくさん経験してほしい」
カテゴリーが上がれば技術も大事になってくる。それでも、阪神の主砲は野球の“本質”を忘れないでほしいと願っている。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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