捕手スキル向上に必要な“タイミング” リズムで養成…素早い1歩目を生む「予備動作」

巨人・甲斐の自主トレをサポートする緑川大陸氏が重視するリズム感
“扇の要”である捕手は、様々な動きが求められる特殊なポジションだ。キャッチング、ブロッキング、スローイング……。必要とされる技術は多岐にわたる。子どもからプロ野球選手まで幅広く指導し、2024年のソフトバンク春季キャンプでキャッチングコーディネーターを務めた緑川大陸氏は「全てのプレーに予備動作が必要」とリズム感の重要性を力説する。
緑川氏は社会人やプロでの経験はないものの、巨人・甲斐拓也捕手から自主トレのサポートを依頼されるほど高いスキルを備えている。特に大事にしているのが「1歩目、タイミング」だという。捕手は常に腰を下ろした状態でプレーする。スローイングや打球処理などに対して素早く動きだすために重要な要素だという。
「ゼロの状態から動き出すと、1歩目は必ず遅れてしまう。そこにリズムを取りながらタイミングを合わせられれば、1歩目が僕たちの感覚では2歩目になる。『せーの』で投げるのが1歩目ではないという感覚です。タイミングの取り方を教えるレッスンはあまりありませんが、僕たちはそこを大切にしています」
リズム感を養い、タイミングを合わせる方法として取り入れているのが「ステップワークドリル」だ。まずはバウンドさせたボールを右手でキャッチしワンステップ。次にバウンドさせたボールをミットでキャッチしてステップを踏む。捕球の前に動き始める習慣付けとして最適だという。

プラチナグラブ賞捕手のホセ・トレビーノと自主トレ…授かった“金言”
「まさにリズムと捕手トレーニングを融合した練習です。自分でボールを地面に落とすと、音が聞こえる。そこでカウント、リズムが取れます。ボールを落とした『ポン』が1歩目のカウントになります。これが予備動作で、ボールを捕る前の準備といえます」
緑川氏の指導で特徴的なのが、常に防具をつけて行うことだ。「暑く、重い」といった“不自由”が生じるが「常に実戦をイメージする。防具をつけない瞬間はありません」。今年1月、レッズのホセ・トレビーノ捕手の自主トレに参加した。2022年にア・リーグのプラチナグラブ賞を受賞した名捕手から「僕たちは膝の上で仕事をする」と“金言”を授かったという。
「最初は『膝の上で仕事をする』の意味がピンとこなかった。オフの日もほぼ同じ練習メニューをこなすのですが、唯一違った点が防具をつけなかったこと。それ以外は全てフル装備で練習に取り組んでいました。『俺は今日、キャッチャーだ』という日はスイッチを入れる。その姿勢、こだわりが凄かった。そこで『膝の上で仕事をする』といった意味が分かりました」
一流のメジャーリーガーから教わった金言を胸に、以降はアーリーワークなど全体練習でない時でも、マスクをつけたフル装備が当たり前になった。緑川氏は「防具も体の一部として感じられるぐらいになってほしい」と強調する。
緑川氏はプロだけでなく、子どもたちにもトップレベルの技術を惜しみなく伝えている。5月24日には捕手スキルに特化したイベント「super fun キャッチャー」を東京都内で開催。甲斐が自主トレで行うリズムトレーニングなど、捕手力を向上させる“秘訣”が詰まった内容になっている。
捕手スキル向上イベント「super fun キャッチャー」を24日に開催
First-Pitchと連携する野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」は5月24日(土)、巨人・甲斐拓也捕手の自主トレを支える“チーム甲斐拓也”の講師陣と共同で、捕手スキル向上に特化したリアル指導イベント「super fun キャッチャー」を開催します。プロも実践する「リズムトレーニング × キャッチャードリル」の融合レッスンを通じ、技術向上はもちろん、捕手というポジションの奥深さと楽しさを体感。「投手が投げやすい構え方を身に付けたい」「キャッチング、フレーミングをうまくしたい」といったの捕手の悩みを講師陣と共に解決していきます。
【日時】5月24日(土)17:30?19:30(受付開始 17:00?)
【会場】フィールドフォース足立・ボールパーク1
〒121-0801 東京都足立区東伊興1-6-9(東武線「竹ノ塚駅」より徒歩約15分)
【講師】
緑川大陸氏[キャッチャーコーチ]
関元崇志氏[スポーツリズムトレーニング協会 マスタートレーナー]
岡良祐氏[イベントMC/甲斐捕手マネジャー]
【対象】小学1年生?中学3年生の選手、または指導者(高校生・大学生の選手は参加できません)
【定員】50人
【参加条件】TURNING POINT登録会員(有料・無料問わず)
※専門家70人以上が参戦「TURNING POINT」とは?
https://first-pitch.jp/about-turning-point/
【「イベント参加券」購入URLはこちら】
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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