少年野球で“成長が加速する”7つの能力 元プロ推奨、「大人でも難しい」ウオームアップ

元楽天・土屋朋弘氏が少年野球で取り入れるコーディネーショントレーニング
小学生年代の子どもにあえて「難しい動き」を課すことが、彼らの将来につながる。元楽天投手でキッズコーディネーショントレーナーとして活動する土屋朋弘さんは、自身が2023年に立ち上げた宮城・仙台市の少年野球チーム「Wild Geese Baseball Team」(ワイルドギーズ・ベースボールチーム)で、コーディネーショントレーニングを取り入れたウオーミングアップメニューを組んでいる。「大人でもできない」レベルの動きに挑戦させる意図とは。
4月中旬、仙台市内のグラウンドで行われた「Wild Geese Baseball Team」の練習では、まず始めに土屋さんの指導のもと、小学1年生~6年生の20人ほどの選手たちが、少年野球では「特殊」とも言えるウオーミングアップに取り組んでいた。
例えば、右脚と左脚を交互にステップしながら横方向に移動する「ミニスキップ」や、両脚を広げてジャンプして手で足先をタッチする動きなどを実践。これらは、自分のイメージ通りに体を動かすための7つの能力(リズム・バランス・変換・連結・反応・定位〈空間把握〉・識別〈用具操作〉)を鍛える「コーディネーショントレーニング」の一種で、前者はリズムや変換、連結、後者はバランスや連結、定位が鍛えられる。いずれも野球の技術向上にもつながるとされる能力だ。
簡単にこなせる子どももいるが、大半は思うように体を動かせず苦戦していた。大人でも見た目以上に難しいといい、土屋さんは「プロ野球では周りの選手がみんなできていたんですけど、トレーナーになってから、意外と大人でもできないと気づきました」と話す。

「ゴールデンエイジ」の成長見据えて身につけさせる“習慣”
その「難しい動き」を小学生に課すのはなぜか。土屋さんは「シンプルに、先(将来)につなげるためにです。この子たちはこれからゴールデンエイジ(神経系が伸びる年代)を迎える。ベースをつくっておくことで、スキルを身につけるスピードが大きく変わってきます」と説明する。
中でも重視するのが「本能的に、見てマネをする」習慣をつけることだ。コーディネーショントレーニングは「できない」ことを前提として行うが、動きをマネをして徐々に「できる」ようになる過程で、子どもは目に見えて成長するという。
さらに年代が上がると、四隅に置いたコーンの位置を確認しながら走ったり、ボールを持った状態でラダートレーニングをしたり、といった、より野球に近い動きを課しても効果が期待される。練習にコーディネーショントレーニングを取り入れることは、「どのチームでもできると思います」と土屋さん。成長が見込まれる小学生年代だからこそ、本能を刺激する経験が意味を持つ。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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