王貞治氏、野球振興に“女性目線”　時代に合う形へ…打ち出した新機軸「縦から横に」

世界少年野球推進財団の評議員に王理恵氏＆五輪メダリストの石川佳純氏が就任

「第31回世界少年野球大会 秋田大会」（7月30日～8月7日、秋田県大仙市）開催へ向け、主催の世界少年野球推進財団理事長、王貞治氏（ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー）が16日に都内で会見。同財団の新たな評議員に、元卓球選手で五輪に3度出場した石川佳純氏、王氏の次女で野菜ソムリエ協会理事の理恵氏が就任（任期4年）したことも発表された。

　世界少年野球大会は、NPB最多の通算868本塁打を誇る王氏、メジャー2位の通算755本塁打を放った故ハンク・アーロン氏が立ち上げた大会で、1990年の第1回以降、日本各地、米国、カナダ、台湾、プエルトリコなどで国際親善試合、野球教室などを行ってきた。秋田で開催される今大会には、世界11の国・地域から80人の少年少女が参加する。

「過去にこの大会に参加した子どもの父母の皆さんからは『イエス、ノーをはっきり言い、自己主張ができるようになった』という感想もいただいています」と王氏は目を細める。さらに「グローバルな時代ですから、日本の子どもたちにも世界と対等に付き合えるように、たくましくなってほしい」と語った。

　新たに石川氏と理恵氏を理事に迎え、85歳の王氏は「われわれは年齢を重ね、財団の理事や評議員は男性、しかも高齢者ばかりになった。同じスタイルのまま行くのではなく、若い人や女性の意見を取り入れ、時代に合った形に変えていきたいと思って、2人に就任してもらいました」と説明。「われわれの現役時代、球界は縦社会でしたが、これからは横にも広げ、この大会も第40回、第50回と続くように進めていきたい」と力を込めた。

　五輪で3つのメダルを獲得した石川氏は「これまで野球の楽しさ、スポーツの楽しさ、スポーツの持つ力を伝えてこられた王さんとご一緒させていただけることは、とても光栄です」と笑顔。「私自身、野球をプレーしたことはありませんが、テレビでずっと観戦してきましたし、球場に試合を観に行ったこともあります」と強調した。

　理恵氏にとっては、父のライフワークの1つに携わることになる。「継承なんて大それたことは考えておりませんが、これまで父とこの大会の関わりをずっと見てきました。毎回夏の暑い時期の開催なので、家族として不安を感じたこともありましたが、子どもたちと一緒に生き生きと野球をする父の姿を見ていて、本当に野球が好きなんだな、この大会はできるだけ長く続いてほしいなと思うようになりました」と心情を吐露。「微力ながら、そのサポートができればと思います」と締めくくると、会見場を埋めた関係者や報道陣から拍手が沸き起こっていた。

（宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki）