中学生以降に伸びる選手の共通点 熱過ぎる親へ「落ち着いて」…プロ目線の“見解”

西武Jr.の星野智樹監督、白崎浩之代表が語る…小学生時代にやるべきこと
プロ野球の各球団が小学生の選抜チームを結成して戦う「NPBジュニアトーナメント」は今年が21回目。12月26日から29日まで神宮球場と横浜スタジアムで開催される。「埼玉西武ライオンズジュニア」を2018年から8年連続で率いる星野智樹監督、昨年から指導陣に加わっている白崎浩之ジュニアチーム代表に、野球少年が小学生のうちに取り組んでおいてほしいこと、“伸びる小学生”の共通点などを聞いた。
「小学生のうちは、野球以外にもいろいろなスポーツに取り組んでほしい」と星野監督。「私自身、チームに入って本格的に野球を始めたのは、小5の時と遅めでした。それまでに短期間ではありますが、スイミングスクールに通い、剣道を習い、テニス、バレーボール、サッカーなどに取り組みました」と振り返る。
現役時代は主に中継ぎ左腕として通算456試合に登板し、105ホールドをマークした。「お陰で体が強くなり、大きな怪我も手術もなく、現役を終えることができたと思っています。他のスポーツにも野球につながる動きのヒントが詰まっていて、絶対役に立つと思います」と力を込める。
2012年ドラフト1位で横浜DeNAに入団し、内野手として2球団で計413試合に出場した白崎氏は2022年12月からライオンズベースボールアカデミーのコーチを務める。「小学生には、とにかく外で遊んでほしいと思います。最近は公園でボールやバットを使えなかったり、少しでも危険が伴いそうなことは禁止されたりして、家にこもりがちになると思うのですが、かけっこでも何でもいいので、外に出て体を動かすことが重要だと思います」と語る。
白崎氏は幼少期を北海道で過ごした。「子どもの頃から体が大きかったですし、足もそこそこ速かった」そうだが、そんな中でも自身のレベルを上げるために工夫を欠かさなかった。「打ったら一塁まで“けんけん”(片足跳び)で行くとか、守備では利き手と逆で投げてみるとか、自分でルールを決めていました」。自ら“ハンデ”を課して鍛えていたわけだ。

子ども以上に熱くなってしまう保護者には「いったん落ち着きましょう」
中学進学以降に伸びる選手には、共通の特長があるのだろうか。白崎氏は「成長途上の小学生って、こういう動きをしたいというイメージはあっても、体が追いつかない場合もあると思います。そういう子も野球を続けていれば、どこかでポンと伸びることがあります」と証言する。
さらに「ですから、指導者の話をしっかり聞き、理解し、実践できることが大事」と強調。「逆に、こうすれば絶対打てるようになるという練習メニューがあったとしても、子どもが理解し、実践できなければ意味がありません」と付け加えた。
「今、白崎が言ったことは大事だと思います」と星野監督も反応。「今はインターネットなどを通じて、いろいろな情報が出回っている時代ですから、子ども自身がそこから自分に必要なものを取捨選択して、実践できる。そんな選手を育てていけるように、われわれ指導者も努めていかなければならないと思います」と強調した。
ライオンズジュニアは、まず第1次選考会として打撃、投球、塁間走、自己PRなどを撮影した動画を募集。第2次選考会(ベルーナドームで走力・体力測定、キャッチボール、バッティング、ピッチングなど)、最終選考会(紅白戦など)と候補者を絞り込み、ジュニアトーナメントに出場する小6男女の本メンバー16人、そして今年からは小5男女のサポートメンバー5人程度を選出する予定だ。
野球少年が健全に育つために、保護者が心掛けるべきことはあるか。「ジュニアチームに選ばれると、中には子ども以上に熱くなり、子どもにプレッシャーを与えてしまう親御さんも見受けられます」と星野監督。「私としては『いったん落ち着きましょう』と。あくまで主役は子どもですから、選手自身がどう考えているのかを中心に会話をしていってほしいと思います」とアドバイスを送る。
白崎氏も「保護者の方々には、結果が出なかったり、試合に出られなかったりする時、子どもたちをフォローしてあげられる、“ガードレール”のような役割を担っていただけたらと思います」とうなずいた。
頭ごなしでなく、自分の課題を客観的に把握し、必要な練習を実践できる。ライオンズジュニアでは、より良い将来につながる選手育成に励んでいる。
星野監督、白崎代表も登場…NPBジュニア選考の“現場のリアル”を紹介!
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(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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