長雨・猛暑で「打撃が狂う」不安…解消法は? 大阪桐蔭元主将直伝“バットなし練習”

猛暑や雨が続いても打撃が狂わない方法とは(写真はイメージ)
猛暑や雨が続いても打撃が狂わない方法とは(写真はイメージ)

大阪桐蔭元主将・水本弦氏が提案…天候が不安定な季節にできる屋内トレーニング

 実戦の場が少なくなる梅雨の季節。今年は猛暑日があったり豪雨もあったりと天候が不安定だ。高温や雨の影響でグラウンドが使えず練習メニューが制限される日が続いた場合、その期間の過ごし方で成長に差がつくこともある。甲子園で春夏連覇を果たした2012年の大阪桐蔭主将で、現在は名古屋市で小・中学生を対象にした野球塾を運営している水本弦氏が、バットやボールを使わなくても打力アップにつながるメニューを紹介する。

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 梅雨の時期は、雨の日が続くとグラウンドで練習できる時間が減っていきます。試合だけではなく、打撃投手やマシンといった動くボールを打つ時間が減って、バッティングの感覚が鈍くならないか心配な選手は多いと思います。

 私が小・中学生の頃に所属していたチームは室内練習場を備えているようなチームではありませんでしたし、生まれ育った石川県は冬場に雪が降るので、生きたボールを打てない期間がありました。その頃から大事にしていて、野球指導者となった今も子どもたちにお勧めしているのが、バドミントンで使用するシャトルを使った打撃練習です。

 体育館のように広くなくても、会議室や自宅の駐車場くらいのスペースがあれば十分です。ボールの代わりにシャトルを投げてもらって打ち返すシンプルなメニューですが、シャトルを使うメリットがあります。それは、スイング軌道を確認・修正できるところです。

 シャトルは先端に重さがあるので、打者に向かってくる時に先端が下になって山なりの軌道になります。そのシャトルを点で捉えるスイングをしていると、バットの芯に当たる確率は低くなり、打ち返した時にシャトルに角度がつきません。

 バットの軌道は、投球の軌道に入るレベルスイングが最も芯に当たる確率が高くなります。打球に角度もつくので、安打や長打の確率も上がります。投球を点ではなく線で捉えるイメージです。理想的なスイング軌道を描けていると、シャトルは斜め上に飛んでいきます。

“バットを持たない”練習法を実践する水本氏【写真:本人提供】
“バットを持たない”練習法を実践する水本氏【写真:本人提供】

インサイドアウトに必要な動き習得…バットを持たないメニュー

 梅雨の時期は、バットを持たないメニューに重点を置く方法もあります。私が名古屋市で運営する野球塾でお勧めしているドリルを1つ紹介します。インサイドアウトのスイング軌道に必要な体の動きを身に付ける狙いです。自宅でもできるので、保護者と一緒にやってみてください。

 まず、選手はバットを持ったつもりで構えます。保護者は、選手の後ろ側の肘(捕手側、右打者であれば右肘、左打者は左肘)が上下しないように手で押さえます。そして、選手はやや前傾姿勢でトップをつくった状態から、バットを振る時と同じように上半身を回します。

 この時、腰の回転と一緒に後ろ側の肘が前に出てしまうと、バットが外側から回って、投球を線で捉えるのが難しくなります。そうではなく、肘の位置は固定して、肘より先が反ってバットが後ろに倒れる動きをつくれると、体を回転させたときにバットが内側から出て投球の軌道にバットが自然と入ります。「腰は先に回るけれども腕・肘は残る」というようなイメージです。

 バットは重さがあるので、体の使い方を身に付けたい練習の際には邪魔になるケースがあります。動きの習得や修正では、あえてバットを持たないメニューも効果的です。梅雨は天候によって普段の練習ができず、ストレスや不安を感じるかもしれません。ただ、考え方や工夫次第で、打撃を向上させる有意義な時間になるはずです。

水本弦氏経営「リングマッチ」公式ホームページはこちら

https://www.ringmatch2023.com/

(水本弦 / Gen Mizumoto)

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