ポニー電撃移籍に「迷いはなかった」 成長に必須の失敗体験…感銘受けた“リーグ戦文化”

高崎中央ポニーナイン【写真:片倉尚文】
高崎中央ポニーナイン【写真:片倉尚文】

今夏のポニー全日本選手権…ボーイズから移籍の高崎中央から3チームが出場

 中学硬式野球「高崎中央ポニー」(群馬県高崎市)は2024年夏にボーイズリーグを脱退、ポニーリーグへ移籍した。今月18日に開幕する「マルハングループインビテーション 大倉カップ 第51回全日本選手権大会」には、3チームが出場権を得た。主要大会に複数チームがエントリーできるポニーリーグへの移籍で、選手だけではなく保護者のモチベーションもアップ。様々な効果が生まれているという。

「高崎中央」は2021年春の全国大会で準優勝、2023年の全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップで4強に進出するなど、ボーイズリーグで実績を残してきたが、昨年8月にポニーリーグへ移籍した。周囲からは驚きの目も向けられたが、「迷いはなかったです」と倉俣徹監督。選手の公式戦への出場機会創出が最大の狙いだった。

 ポニーリーグでは1つの大会に複数チームを編成して出場することが可能。「高崎中央」は2、3年生部員が計44人在籍しており、レベル別に4チームに編成した。名称はAチームのジャイアンツから、ネクスト、フューチャーズ、ジュニアとなっている。1年生部員は29人で、2チームに分けて大会に出場している。「シニアでもボーイズでも主要大会に出場できるのは1チームだけです。普通ならスタンドで応援する選手たちがポニーでは公式戦に出られます。選手のやる気に大きな差が出ますよね」と倉俣監督は語る。

 ポニーリーグは“リーグ戦文化”。大会ではまずリーグ戦を実施し、上位チームがトーナメントに進出する仕組みになっている。「1つの大会で最大9試合程度できる。経験値が大きく違ってきます」と倉俣監督。さらに大会の中でも予選と本選で選手の登録変更は可能で、「好不調によって入れ替えできるので、選手は気を抜けないと思います」と効果を明かす。

高崎中央ポニー・倉俣徹監督【写真:片倉尚文】
高崎中央ポニー・倉俣徹監督【写真:片倉尚文】

感銘受けたサッカー強豪校の取り組み…出場機会創出で選手も保護者も変わった意識

 倉俣監督はかつて、自身の息子が所属した群馬県の強豪・前橋育英高サッカー部の取り組みに感銘を受けた。高校選手権で2度の優勝を飾るなど全国屈指の実力を誇る同校サッカー部の部員は約150人いたそうだが、6チームを編成。どのレベルの選手でも試合への出場機会があったという。「それを見て羨ましいと思いました」。こうした経験も背景にあり、移籍へ踏み切った。

 ポニーでの「高崎中央」の戦績は目覚ましい。昨年10月の関東連盟秋季大会でジャイアンツが優勝、ネクストが3位に入り、今春の全国大会に出場した。関東連盟春季大会ではジャイアンツが準優勝、ネクストが8強入り。北日本選手権関東連盟予選ではジャイアンツが優勝。北日本選手権には日程の都合で2年生チームで出場し、準優勝に輝いている。さらに、2チームが出場した関東連盟1年生大会ではAチーム(ジャイアンツジュニア)が準優勝、Bチーム(ネクストジュニア)が4強に進出した。

 巨人で野球振興部長も務める倉俣監督は「実戦能力を養うには、試合に出て失敗を繰り返さないとダメだと思います。1~3年生全てに出場機会が用意されているポニーリーグは最適です。こうした取り組みを、(軟式野球を主催する)中体連も見習うべきだと思います」と力を込める。さらに保護者の“熱量”の変化も実感。多くの選手が大会に出場できることから「目の輝きが違います」とも語る。

 ジャイアンツ、ネクスト、フューチャーズの3チームが初参戦する全日本選手権。高崎中央勢がどんなパフォーマンスを見せるか、楽しみだ。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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