“守備は両手で”の固執に懸念「脳が切り替わらない」 小学生から磨きたい逆シングル捕球

逆シングル捕球ドリルを実演する流大輔氏【写真:高橋幸司】
逆シングル捕球ドリルを実演する流大輔氏【写真:高橋幸司】

福岡の野球塾「SSBA」流大輔コーチが伝える“網を使う”実戦的捕球ドリル

 守備上達のポイントは、片手でのプレーを増やすことと、グラブの「いろんな位置」で捕れるようになることだ。福岡県久留米市の野球塾「Shootingstar baseball academy(SSBA)」で小・中学生を指導する流大輔さんは、「とにかく『片手で上手くなろう』ということと、グラブの網(ウェブ)の部分で捕れるようにしよう、ということは口酸っぱく伝えています」と語る。より実戦的な技術が身に付く「逆シングル捕球ドリル」を教えてもらった。

 流さんは独立リーグの高知ファイティングドッグスで俊足の二塁手として活躍したのち、2015年に「SSBA」を立ち上げ、2021年には中学軟式野球クラブ「久留米フューチャースターズ」を創設。ソフトバンク・牧原大成内野手の練習パートナーも務めるなど、小・中学生を中心に幅広い年代の指導にあたっている。特に内野守備については「奥深くまで突き詰めてやっています。昔からバッティングセンターに行くよりも、壁当てをしている方が楽しいタイプでした」と自負する。

 そんな流さんの塾には、守備が上手くなりたい選手が集まってくる。試合でエラーをしてしまうなどの漠然とした悩みが多いが、総じて言えるのが「片手でのプレーに不慣れ」ということだ。

「シングルキャッチ後のタッチプレー、フォースプレーなど、野球の中でアウト・セーフを決める特に重要なプレーは、片手ですることが多いですよね。しかし、特に小学生の時は『両手で捕るのが基本』と習うため、片手での練習をあまりやらない傾向があります。普段から練習しておかなければ、試合本番で脳が切り替わることはないし対応力はつきません」

 そこで流さんが、普段の自主練習から取り入れてほしいと推奨するのが、グラブのウェブを使う捕球ドリル。ショートバウンドで投げてもらったボールを、片膝つきの体勢で逆シングルで捕るというものだ。「グラブの土手(手のひらの手首に近い部分)で捕ろうとすると、逆シングルだと弾いてエラーになります。網で引っ掛けるイメージを意識してください」。片膝立ちの足のつま先を踏み込みながら、股関節を柔らかく使うこと。グラブを上から被せたり横にしたりせず、ボールに対して縦に入れていくことがポイントだ。

 打球に対し正面で両手で捕るのは、守備の基本であることは間違いない。しかし、「それはあくまで“基準”。そこから外れた時にどうアウトにするかのスキルを、小学生の段階から磨いておくことが大事。打撃でいえばセンター返しが打てるから、逆方向にも打てるし引っ張りもできる。それと同じ理屈です」。

 小学生は基礎が大事だが、そればかり教えていては可能性は狭まる。「片手で捕る、ウェブを使えるようになると、守備の幅はめちゃくちゃ広がります。キャッチボールから意図的に網で捕ってみてもいいと思います」と流さん。できるだけ早い段階から、動きのバリエーションを身につけておきたい。

(高橋幸司 / Koji Takahashi)

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