少年野球で危険な“バット投げ”をどう防ぐ? プロも推奨…楽しく習慣化できる「入れたら1点」

少年野球で多い「バット投げ」を防ぐ方法とは【写真:編集部】
少年野球で多い「バット投げ」を防ぐ方法とは【写真:編集部】

子どもたちにとってもわかりやすい“ルール”

 都内で行われていたジャイアンツアカデミーの低学年指導の時間で、まだ野球を始めたばかりの子がグラウンドで楽しく駆け回っていた。一緒にプレーするのは元巨人の選手や巨人女子チームの選手たち。選手たちがお手本になったり、一緒にゲーム形式でプレーしたり、時間を共有している。目を奪われたのは、バッティングをしている時、子どもたちはボールをとらえたバットを走路に置いてあるカゴにそっと入れてから、ダイヤモンドを駆け回った。選手たちも打ったバットを静かにカゴにいれていた。

 こうした取り組みを実際に行っている野球チームも増えている。以前、見ていたチームには、ときどき“ヒヤッ”とする場面があった。特に、野球を始めたばかりの子どもたちが実戦形式の練習に入った時、最も危険なのがバットの扱いだ。打った直後、一塁へ駆け出すタイミングで、子どもが持っていた金属バットを後ろに放り投げてしまうことがある。これは大人が見ていると一目で「危ない」とわかる行動。運が悪ければ、後ろにいる捕手に直撃する。守備側やベンチにいるチームメートに当たってしまう危険性もある。

 だが、この危険性は子どもたちにとっては実感しにくいものでもある。なぜなら本人はヒットを打ったり、ボールを当てたりすることで精一杯で、「バットを安全に置く」ということまで頭が回らない。だからといって、指導者が「バットを投げるな!」といくら注意しても、習慣として身についていなければ直らないのが現実だ。口頭の注意だけで完璧に防ぐのは、はっきり言って難しい。

打った後静かにバットを置く選手たち【写真:編集部】
打った後静かにバットを置く選手たち【写真:編集部】

バットをカゴに入れられたら1点という特別ルールは有効

 そんな中で有効なのが、「ルールで習慣化させる」方法である。打った後に「バットを入れるカゴ」を一塁へ駆け出す動線の中に置いておくのだ。特別ルールのもとでゲーム形式にして「バットを入れたら1点」というルールにすれば、子どもたちは喜んでカゴに入れようとする。

 これはNPB(日本野球機構)が提唱する「BTボール」でも採用されている考え方だ。BTボールとは、野球(Baseball)やティーボール(Teeballスポーツ)のルールを簡易化した、初心者でもわかりやすく楽しめるベースボール型スポーツの遊びである。このBTボールのルールには「バットをカゴに入れたら1点」という項目が明記されており、バットをカゴに入れることでポイントが入る仕組みになっている。目的は得点だけでなく、自然と「バットを放り投げずに置く」という行動を定着させることにある。

 野球は技術を教える前に、安全にプレーするための動作や習慣を身につける必要がある。だからこそ、打った後のバットの置き方は、最初のうちからきちんと教えておく必要がある。ただし、言葉で教えるよりも「ルールや仕掛け」で身につけさせた方が、子どもたちにとってもずっとわかりやすい。

「危ないからダメ」と叱るより、「入れたら1点」と褒められる工夫をする。これが、子どもたちにとって“野球が楽しく安全になる第一歩”になるかもしれない。

(First-Pitch編集部)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY