打力アップに重要…“好球必打”を導く声掛けとは? 強力打線で快進撃、中学指揮官の指導哲学

中野リトルシニアの4番・エースを務める出川新大の打撃【写真:片倉尚文】
中野リトルシニアの4番・エースを務める出川新大の打撃【写真:片倉尚文】

日本選手権に5年ぶり出場、ジャイアンツ杯で初の4強…中野シニア監督の指導哲学

 中学硬式野球の日本一を決める「第19回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」に、12年ぶりに出場した中野リトルシニア(長野)が初の4強入り。1日から6日まで行われた「エイジェックカップ第53回日本リトルシニア日本選手権」にも5年ぶりの出場を果たすなどこの夏、快進撃を続けている。打撃が活発で、“日本一広い球場”で行うティー打撃が強力打線形成の源になっているという。

 日本選手権では、中野シニアは1回戦で貝塚シニア(大阪)に競り勝ち、2回戦で浦安シニアと対戦。敗れたものの最速138キロを誇る相手エース・皆川将大投手から6回までに10安打を放つなど、あと一歩まで詰め寄った。そして、ジャイアンツカップでは3つの勝利を重ね、16日の準決勝(対世田谷西リトルシニア)に進出した。

 チームを率いる63歳の高橋昭二監督は、松商学園(長野)で3年連続夏の甲子園に出場。その後、電電信越(現信越硬式野球クラブ)で都市対抗に11度出場した実績を誇る。こうした経験を踏まえ、打撃では積極性を重視している。

「全国クラスの投手を打つには、早いカウントで勝負することが重要です。その意識を選手に浸透させています。『ボール球に手を出すな』とは決して言いません。『バットの芯に当たると思ったら打ちにいこう』と伝えています」

中野リトルシニアの高橋昭二監督【写真:片倉尚文】
中野リトルシニアの高橋昭二監督【写真:片倉尚文】

打撃で大切なのは「バットを振り出す勇気」

 打撃で最も大切なのは「バットを振り出す勇気だと思います」と高橋監督。そのため「~してはいけない」という言葉は決して口にしないという。「バットの芯に当たると思った球はほとんどがストライクです。ゾーンから大きく外れた球を捉えられると思う打者はいません」。必然的に“好球必打”の意識が生まれるわけだ。

“地の利”も生かす。主に練習する中野市営豊田野球場は、両翼106メートル、中堅138メートル。“日本一広い野球場”とも言われている。「広い球場でロングティーをがんがんします。ティー打撃はウエートトレーニングだと思っています。たくさん振ることからバッティングを作っていってほしい」と語る。

 2009年に部員9人で発足したチームは現在、過去最多の54人。少子化時代にもかかわらず右肩上がりなのは、指揮官の“ポジティブ指導”に共感を抱く選手が多いからだろう。信州にある強力打線の中学硬式チーム。今後の躍進が楽しみだ。

(First-Pitch編集部)

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