全国大会で輝いた“身長138cm右腕” 投手=制球力を体現…元プロも絶賛「まさに手本」

五泉フェニックスの小林大雅【写真:橋本健吾】
五泉フェニックスの小林大雅【写真:橋本健吾】

「全日本学童軟式野球大会」で先発に抜擢された五泉フェニックスの小林大雅くん

 学童野球では体格が大きければ、大きいほど有利とされている。打者なら飛距離、投手なら球速に関心が集まるなか、8月13日から新潟で行われている“小学生の甲子園”「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」では、五泉フェニックス(新潟)の“小さな大投手”が脚光を浴びた。

 いとも簡単にストライクを取り、スローボールと直球の緩急を活かし打者を牛耳った。1回戦の明石ボーイズJr.(兵庫)戦の先発マウンドに上がったのは、身長138センチの小林大雅くん(6年)。初回は先頭から2者連続三振を奪うなど3者凡退。3回に初安打を許し1死一、二塁のピンチを背負うも、打たせて取る投球で無失点で切り抜けた。

 予選では背番号「1」のエース・樋口大河くん(6年)が主戦として投げていたが、吉川浩史監督は「ひらめきと言いますか。相手の強力打線にハマるかもしれない。思い切って起用しました」と、抜擢した理由を明かした。2点リードの4回は2つの失策も絡み5失点と逆転を許し、惜しくも敗れたが「もう、本当に100点満点。全国の舞台で堂々と投げていました」と賛辞を送った。

 チームは14年振りの出場で地元開催。一塁側のスタンドは埋め尽くされ、子どもたちには割れんばかりの大声援が注がれた。地元ファンに白星を届けることはできなかったが、十分に役目を果たしたといえるだろう。一般的な小学6年生男子の平均身長は147~148センチ。チーム内でも小柄な部類に入る小林くんは「僕は三振を取るような投手じゃないからストライクを投げるだけ。全国大会で投げられたのは凄く嬉しかったです」と胸を張った。

スタンドを埋め尽くした五泉フェニックス応援団【写真:橋本健吾】
スタンドを埋め尽くした五泉フェニックス応援団【写真:橋本健吾】

大会関係者も感心「小さな子にも夢を与える」

 3回まで無失点に封じられた明石ボーイズJr.の筧裕次郎監督(元近鉄・オリックス)も、「あれだけ簡単にスローボールでストライクを取る。投手はコントロールとよく言いますが、まさにお手本のような投球でした」と、小林くんの投球を絶賛。ベンチ裏で試合を見守った大会関係者も「野球はスピードだけじゃない。小さな子にも夢を与えるね」と何度も頷いていた。

 目標としていたベスト8はならなかったが、身長138センチの“小さな大投手”は全国の舞台で確かな足跡を残していった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY