少年野球の現場でよくある“外野からの横やり” 「口だけ大人」が選手にもたらす悪影響

野球講演家・年中夢球さんが語る…保護者の野球へのかかわり方
保護者の“熱量”が、子どもの成長を左右するかもしれない。少年野球指導の現場で20年以上のキャリアを持つ野球講演家の年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんは、保護者の関わり方について「熱心な親になってほしいけど、熱い親にはならないでほしい」と願う。「熱心」とは心が入っていることで、「熱い」とは自分の感情だけで行動することと説明。この違いが子どもの野球に対する姿勢や、成長に大きな影響を与えるという。
口は出すが、行動しない――。少年野球の現場で見かけたことがある人は少なくないだろう。指導者でもないのに“外野”から横やりを入れる保護者は多い。これでは子どもの上達は望めない。
年中夢球さんが推奨するのは、子どもに寄り添った行動をとること。「素振りやっておけよ」と命令して子ども任せにするのではなく、実際に1時間早く起きてティー打撃など自主練習を行うことを例に挙げる。こうした行動が子どもに「お父さんが僕のために頑張ってくれている」という気持ちを芽生えさせ、「自分も頑張らなきゃ」という意欲につながっていくという。
親の本気度は子どもに伝わる。指導においても熱量は必ず届くものだ。言葉だけではなく、自分の思いを子どもに伝えるには、言葉だけではなく行動も必要。毎朝30分でも子どもと一緒に練習すれば、技術向上だけでなく親子のコミュニケーションの貴重な機会になる。
継続することの難しさを教えるのも保護者の大切な役割だ。子どもが後に「あの時、親が僕のために頑張ってくれた」と思い出せるような関わり方があれば、次の世代にも繋がっていく。実際に年中夢球さん自身も「(息子に)もっとティーを上げる時間を作ればよかった」と振り返るほど、親子で一緒に取り組む時間の価値は計り知れない。
こうした形で子どもと関わる時間は思いのほか、短い。単に「素振りやったのか」「ちゃんとやってるのか」と声をかけるだけでなく、一緒に汗を流す時間がより密接な親子関係を育む。子どもは親の背中を見て育つ。共に行動した時間は、子どもの野球人生だけでなく、絆を深める貴重な財産となるはずだ。
(First-Pitch編集部)
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