負けたら終わりの一発勝負…劣勢時に意識すべきことは? 中学全国王者の“逆転の本質”

ジャイアンツカップで優勝を果たした世田谷西リトルシニア【写真:小林靖】
ジャイアンツカップで優勝を果たした世田谷西リトルシニア【写真:小林靖】

ジャイアンツ杯で2年ぶりV…世田谷西シニアが苦しんだ準々決勝

 中学硬式野球の強豪「世田谷西リトルシニア」(東京)は、8月12~17日に行われた「第19回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」で2年ぶり4度目の優勝を飾った。春のシニア全国選抜大会、8月上旬のシニア日本選手権も制しており年間3冠を達成したが、ジャイアンツカップの準々決勝では一時逆転され敗退危機に見舞われた。どのように苦境を乗り越えたのか――。

 14日に東京・大田スタジアムで行われた北摂リトルシニア(大阪)との準々決勝。世田谷西シニアは2回に1点を先制したが、3回に追いつかれると4回に一挙3点を許した。8月1日のシニア日本選手権1回戦で7-0快勝した相手との再戦。今度は逆に主導権を握られた。

 8月1~6日に行われた「エイジェックカップ第53回日本リトルシニア日本選手権」で3年連続7度目の優勝を飾ったばかり。吉田昌弘監督は「相手の術中にはまってしまった感じ。試合にフワッと入ってしまったところもあります。変な意味で試合慣れした面があったかもしれません」と振り返る。

 しかし、そのまま終わらないところが王者たるゆえんだろう。逆転された直後の5回2死から死球を挟み、4本の長短打を集中して逆転。6回にも2点を加え、ねじ伏せた。

世田谷西リトルシニア・吉田昌弘監督【写真:磯田健太郎】
世田谷西リトルシニア・吉田昌弘監督【写真:磯田健太郎】

劣勢の時こそ重要な守備の意識「逆転に繋がった」

 指揮官が勝敗のポイントに挙げたのは、劣勢に立たされた時の守備の意識だった。「負けている時の守備ってどうしてもいいかげんになりがちです。でも、選手たちは粘り強く守ってくれた。それが逆転に繋がったと思います」。

 リードを許せば、守備の最中でも意識は打撃に向きがちになる。結果、守備が破綻してさらなる失点を重ねるケースも少なくない。しかし、そういう時こそ集中すべきと語る。「中学生ですし、試合展開で一喜一憂することも多い。ですが、接戦は楽勝の試合より楽しめると思います。それが野球の本質だと思います」。

 負けたら終わりのトーナメント。試合を重ねていく上で、必ずしも全て順風とはいかない。「苦しい展開、うまくいかない時にどうするかというのをやってきました。一人ひとりが粘ってやってくれたと思います」。

 苦境に陥っても浮足立たないメンタリティ。強さの根源が劣勢の時に見えた。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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