中学日本一決定戦で「凄い選手がいる」 2年半で24キロ増…岡山の“三刀流”遊撃手の食生活

「3rdエイジェックカップ」で優秀選手賞…オール岡山ヤングの井澤佑馬
主軸の大幅な体重増がチーム躍進の原動力になった。7月末の「ヤングリーグ選手権大会」を制したオール岡山ヤング(岡山)は、中学硬式野球5リーグの全国王者による「3rdエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」(8月27〜29日)でも準優勝。攻守でフル回転し、同リーグ初の決勝進出に導いたのが背番号6の井澤佑馬内野手(3年)だ。
28日に栃木県宇都宮市のエイジェックスタジアムで行われたリトルシニア代表の世田谷西リトルシニア(東京)との1回戦は「3番・遊撃」で出場。まずは2回1死二塁、中前に抜けそうな痛烈なゴロをショートバウンドで好捕し、素早く一塁送球してアウトにする美技を披露してスタンドをどよめかせた。
3回1死一、三塁の場面で遊ゴロを冷静に処理。併殺でピンチを脱し、直後の攻撃で先制の二塁内野安打を放った。さらに打線がつながり3点をリードすると4回からマウンドへ。「相手はジャイアンツカップで優勝している最強チーム。威圧感が凄かったです」というものの、プレートを踏む足の位置を変え、クイックを交えて足の上げ方を変えるなど巧みにタイミングを外し続けた。
80キロ台のスローカーブも織り交ぜるなど緩急も駆使。「打者が嫌がるのは分かっているので、常に打者のペースに合わせないようにやっています」と最後まで冷静だった。高橋貫寛監督も「井澤が最後までよく投げてくれました」と称賛。世田谷西の吉田昌弘監督を「野球が上手な投手」とうならせる4回無失点の好救援で、“全国4冠”を狙った強豪を撃破した。
同日に行われたポニーリーグ代表の高崎中央ポニー(群馬)との準決勝は球数制限もあって遊撃に専念。3回に先制の口火を切る左翼線二塁打を放つなど2安打1四球とバットで貢献した。巨人の元コーチで、現在は巨人の野球振興部長を務める高崎中央の倉俣徹監督も「それにしても井澤選手は遊撃を守って、打ち出の小づちで、凄い選手がいるんだって思いました」と脱帽。唯一1日2試合となったチームの主軸として、疲れを見せない躍動ぶりだった。

中学入学時163センチ、50キロ→現在は173センチ、74キロ
中学入学時は163センチ、50キロだった体は大きくボリュームアップ。現在は173センチ、74キロと2年半で24キロもの増量に成功した。成長期とはいえ、破格の増量ペース。「体重を増やしたかった」と食事はササミなどタンパク質を多めに取ることを心がける。さらに日々の練習後は必ず粉末のグルタミンを補給。さらにその20分後にプロテインを飲んでいるという。今大会は開会式が行われた27日に栄養学セミナーを開催。そこでも熱心に話を聞き「勉強になりました」と振り返った。
家族で外食に出かけた際、一度食事を済ませた後にラーメン店へ行ったことがある。「そこで替え玉してたら体重が増えました」と笑う。それでも、体が重くなったという感覚はなく、投手でも遊撃でも動きは軽快。「体重が増えた分は、いい感じで筋肉になってます」と胸を張る。「体が大きくなったと感じますし、打球が飛ぶようになった実感があります」。強行日程をはね返すほど、自然とタフさも増していた。
29日に神宮球場で行われたボーイズリーグ代表の東海中央ボーイズ(愛知)との決勝戦は遊撃で先発し、0-0の5回から登板。7回に決勝打を許して0-1で敗れた。「チームを勝たせることができず悔しいです。でもヤングリーグの代表として最後までやり切れたと思います」。その活躍は印象的で大会の優秀選手賞を受賞。最後に流した涙を糧に、さらに心身とも成長することだろう。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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