守備力向上に不可欠な“1歩目の速さ” 強豪学童が実践…ノッカー不要の「壁当てジャンプ」

明石ボーイズジュニアの「壁当てジャンプ」の様子【写真:橋本健吾】
明石ボーイズジュニアの「壁当てジャンプ」の様子【写真:橋本健吾】

明石ボーイズジュニア・筧総監督が伝授…先読みとイレギュラー対応力も養う練習法

 守備でアウトの確率を上げるためには、“1歩目の速さ”が重要になる。タイミングや間を合わせながら、不規則な打球を処理することが求められる。そこで、兵庫の少年軟式野球チーム・明石ボーイズジュニアが、取り組むドリルが「壁当てジャンプ」だ。今年8月に行われた“小学生の甲子園”「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場したチームの、総監督を務める筧(かけい)裕次郎氏(元近鉄、オリックス)が説明する。

 多くの球児が抱える「打球に対する1歩目が遅い」という悩みを解消するトレーニング法。単なる壁当てではなく、ボールが壁に当たる直前に軽く1回ジャンプしてから捕りに行く。筧氏は「壁に当たってからジャンプすると、絶対に1歩目は遅れるので注意が必要です」と語る。

 このタイミングは、打者が投球を打つインパクトに合わせて軽くジャンプする「スプリットステップ」と同じ原理だという。効果について筧氏は「意図としては、地面に着いた状態からスタートするよりも、早く1歩目のスタートが切れるようになるというところ」と説明。つまり「静から動」ではなく「動から動」の状態を作り出すことで、体が固まった状態から動き出す際の“無駄な力”を省くことができるという。

「守備だけじゃないですが、捕る前からしっかり準備することが必要だと思います」と、次のプレーへの備えの大切さを語る筧氏。少年野球でよく見られるのは、ボールが来るまで固まったまま待ち、動き出すのが遅れるケースだが、この練習で事前準備の習慣も身につく。

「壁当て」なので、ノッカーや補助役はいらない点も大きな利点だ。ボール1つで5、6人の選手が連続で何回も練習できるため、限られた練習時間や場所でも効率的に取り組める。さらに筧氏は「数をこなすことで、グラウンドが荒れてきてイレギュラーも起きる。そうすると子どもたちも考えて、少しでも少ないバウンドで捕りに来る」と付け加える。1歩目の速さとともに、臨機応変な対応力も養える一石二鳥のドリルだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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