体が硬いと投球技術が伸びない? 運動神経と密接…元プロ指南、ストレッチの“NG姿勢”

コーディネーション能力の土台…柔軟性の重要性と元楽天・土屋朋弘氏が解説
自分のイメージ通りに体を動かせる「コーディネーション」能力は、将来的な野球の技術向上に欠かせないのはもちろん、生涯の運動習慣継続に大きく関わるものだ。小学校低学年のうちから養いたいが、その基礎として“体の柔軟性”があることが必須。柔軟性は単なる怪我予防だけでなく、神経と技術をつなぐ重要な役割を担っているからだ。元楽天投手でキッズコーディネーショントレーナーの土屋朋弘さんが、早期に取り組みたい3つのストレッチを紹介している。
土屋さんは和歌山・箕島高、名古屋商科大学、社会人・シティライト岡山を経て、2010年に楽天に入団し、投手としてプレー。現役引退後、独学でトレーナーの勉強をして資格を取得。その過程でドイツ発祥の「コーディネーショントレーニング」と出合い、2021年からは子どもたちの運動能力を伸ばす「土屋教室」を仙台市内で開いている。
まずは基本となる開脚ストレッチから。床に座り足を左右に開き、上体を左右の足に向けて倒していく。初めは同じ側の手で爪先を触りにいく程度で、慣れてきたら反対側の手を伸ばし、さらに余裕があればおでこを足につけるくらい倒す。このとき、注意したいのが「骨盤が後傾しないことです」と土屋さん。よく背中を丸めて無理に伸ばそうとする人がいるが、それでは効果が薄れてしまう。難しい場合は、練習パートナーに尾てい骨を押さえてもらうのが良いといい、正しいフォームで行いたい。
続いてお尻のストレッチ。地面に座って足首を持ち、自分の方へ引き寄せることで臀部を伸ばす。できる人はおでこに足をつける。この部位は放置すると「年齢とともに硬くなりやすいです」(土屋さん)と、野球のパフォーマンスに大きく影響するという。
さらに股関節周りの筋肉を伸ばすランジストレッチ。前足を1歩前に出し、もう片方の足は後ろに伸ばして膝を床につける。前足のつま先より膝が前に出ないよう注意して15〜20秒キープ。特にピッチャーにとって股関節の柔軟性は投球フォームを安定させる上で非常に重要だと土屋さん。「ここが硬いと体全体が引っ張られ、(上半身の)肩が開いたり、粘りがなく回転が速くなりすぎたりと、上のレベルに行けば行くほどネックになります」と注意を促す。
テレビやスマホを見ながらなど、日常の合間を利用してOKなので、何よりも継続的に行うことが大切だ。「技術を習得する意味でも、柔軟性は基礎となる部分でもある。週2回からでも良いので、しっかりと行ってほしい」と土屋さん。今日から始めることで、未来の野球人生に大きな差がつくはずだ。
(First-Pitch編集部)
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