制球力アップを妨げる「不安定な軸足」 浮いた指が秘訣…バランス力を高める“週3の習慣”

東京農業大・勝亦陽一教授が推奨…野球パフォーマンスを向上させる“片足立ちドリル”
投球ではボールをコントロールよく投げられない、打撃でもボールがバットになかなか当たらない……。そんな少年野球選手たちの悩みの原因は、実は「片足でしっかり立てていない」ところにあるかもしれない。東京農業大学の勝亦陽一教授は、立ち方で大切なのはバランスであり、バランスが悪いと次の動きの正確性やスピードが落ちたり、動きの再現性が低くなったりすると語る。バランス良く立てるようになるキーワードは「支持基底面」だ。
「支持基底面」とは地面に接している足の外周の範囲のこと。バランスよく立つには、支持基底面の中心に体の重心を置くことが重要になる。つま先やかかと、足の内側・外側に重心が偏るとバランスが悪く、身体を思い通りに動かせない。勝亦教授は「野球では、片足で立った状態から体重移動や回転運動を行っていきます。片足で立つ動きが実は野球選手のパフォーマンスにかなり大きく影響します」と説明する。
片足立ちの能力を高めるトレーニングとして、まずは「足裏全体を地面に接する」感覚を身につける基本ドリルから始めたい。単に片足立ちをするのではなく、軸足の指を地面から浮かせた状態で立つのがポイント。手は腰に当て、この状態で10秒間、体のバランスをキープ。片足を上げた“瞬間”にバランスよく立てるよう、心がけると良いという。
「野球の動きでは足を上げて長く立つわけではありません、足を上げた“瞬間”にいかにバランスよく立てるかが大事」と勝亦教授。両足それぞれで行い、立った時に背中が反ったり曲がったりしないよう、体を真っすぐにして立つことも重要だ。
安定して立つには、母指球側(親指の付け根)、小指側(小指球)、かかとの3点が地面について、その中心に重心がくることが大事になる。「たとえば、三脚の椅子の脚の1本がなくなってしまうと、バランスを崩して倒れてしまう。人の立つ動きでも一緒です」と勝亦教授。
トレーニングの頻度は週に3回程度、片足を10秒ずつ、3セット程度行うのが良い。うまく指が上がらない選手もいるだろうが、その場合は、事前に指を動かしてから行うと効果的だ。地道なトレーニングの繰り返しが、野球のさまざまな技術向上につながっていく。
(First-Pitch編集部)
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