屋外でのフリー打撃は必要ない? “成功体験だけ”は「意味がない」…中学強豪が狙う効果

狭いグラウンド…愛知尾州ボーイズは室内練習場で徹底的に打ち込み
屋外で打撃練習をやらなくても、打力が飛躍的に向上する方法はいくらでもある。中学硬式野球チーム「愛知尾州ボーイズ」の藤川正樹監督と、「東海中央ボーイズ」の竹脇賢二監督が30日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催したオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」に出演した。今年の春夏のボーイズ全国大会を制した同じ愛知の強豪2チームは、グラウンドでフリー打撃などはやらず、室内練習場やネット打撃などで打力を強化しているという。
愛知尾州ボーイズのグラウンドは空から見ると三角形で、両翼から中堅にかけての膨らみがない。さらに左翼が約70メートル、右翼は約55メートルしかなく、打球は簡単に外野の防球ネットを越え、後方を流れる日光川へと飛び込む。イベントに出演した「BT野球スクール」の運営に携わる生島峰至(たかし)さん(大阪桐蔭OB)も「想像を越える狭さでした」と目を丸くしたほどだ。
しかし、藤川監督はこの練習環境をプラスに捉えている。グラウンドでの打撃練習は禁止し、土日の午前中は投内連係や内外野のノックなど、守備練習のみに時間を割く。そして午後は約100坪の広さがある室内練習場に移動。4か所の打撃スペースで心ゆくまでボールを打たせる。2年連続でU-15日本代表に選出された丹羽裕聖内野手(3年)らの攻守は、徹底した反復練習で鍛えられていった。
「個の練習は非常にできるので、今ある環境には感謝しかないです。グラウンドでは打撃練習やシート打撃はできませんが、室内練習場で1日に500球近くは打つので打力は強化できます。寒くても打てるので、本当にありがたい施設です」

東海中央ボーイズは打撃練習ケージで様々なコースを数多く打たせる
東海中央ボーイズの打撃練習も特徴的だ。こちらもこだわるのはスイング数。竹脇監督は「グラウンドでフリー打撃みたいなものは(創設から)13年間やったことがありません」というように、グラウンド脇にある打撃練習ケージ(鳥かご)で、至近距離から投げる球を数多く打たせ、体に染みこませている。
「近いところから投げるとインコースや低めなどにも制球しやすいので、自分の得意じゃない球も打つことができます。私が高校の時は自分の得意な球しか打っていませんでしたが、それは練習としてはあまり意味がありません。色々な球をどんどんバットに当てることで、成功体験と失敗体験を積ませています」
全国で勝つために「5点以上取って3点以下に抑える」チーム作りを重視。打撃強化と並行してコンクリート上での捕球練習といった守備力も鍛えていった結果、今夏の全国大会6試合で平均7得点、防御率2点台で初の夏頂点に立った。藤川監督も「失点数の少なさが歴然なんです。防御率が1、2点台で打力も凄い。取りこぼしが少ないチーム」と敵将に賛辞を惜しまない。
グラウンドで行う練習が全てではない。指導者の工夫次第で、小・中学生が伸びる要素は無限に広がっている。31日まで開催される「日本一の指導者サミット2025」では、強豪チームの指導法や練習法を次々と紹介する。
日本一の指導者サミット2025」本日31日(金)最終日…見逃し配信もあり
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、10月27日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」を開催中。
小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介しています。参加費は無料。見逃し配信もあり。登場チームなどの詳細は以下のページまで。
【日本一の指導者サミット2025・詳細】
https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20251008/12751/
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry
(First-Pitch編集部)
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