故郷の“平均寿命低下”に嘆き「生活習慣病も多い」 野球する親子へ訴え「食育に興味を」

大嶺氏が訴える幼少期の食育の重要性とは(写真はイメージ)
大嶺氏が訴える幼少期の食育の重要性とは(写真はイメージ)

元ロッテ・大嶺祐太氏…伝えたい食事の重要性を説明

 食事の大切さを野球少年に伝えたい思いがある。ロッテ、中日で投手としてプロ野球生活を16年間送った大嶺祐太氏は現在、球界を離れて都内で飲食店を経営しつつ、定期的に少年野球の指導を行っている。7月には生まれ故郷の沖縄県でスポーツイベントを開催。「食育の重要性」を訴えた。

「沖縄の子どもたちに僕が経験した知識を伝えたいなと思っています。食育というものに、子どものうちからもっと興味を持ってほしい。体の成長にもつながってくることですし、怪我をするリスクも食事で変わってきます」

 理由は、自らが飲食店を経営しているからだけではない。かつて長寿県として有名だった沖縄は近年、平均寿命が著しく低下。欧米型の食習慣の浸透や運動不足などが原因といわれている。「沖縄はどちらかというと平均寿命がワーストの県になってきている。3大生活習慣病も多いんです」。少しでも健康に過ごしてほしい思いが強い。

 そのためには幼少期からの食生活を見直す必要がある。「食事の内容で健康面が変わっていくと感じています。体の成長やケア、怪我防止を含めて、いろんなものにつながると思います」。漠然と食事するのではなく、意識して取り組んでほしいという。

 沖縄に限らず、全ての野球少年を含めたアスリートが考えるべき問題でもある。まずは簡単な助言として「分かりやすいのは、コンビニに入ったら(揚げた)チキンではなく、サラダチキンを選ぶこと」を挙げた。「甘い飲み物やお菓子を買うのではなく、何を選ぶか少し悩めるぐらいの知識が増えてくればいいと思います」。

ロッテ・中日でプレーした大嶺祐太氏【写真:尾辻剛】
ロッテ・中日でプレーした大嶺祐太氏【写真:尾辻剛】

保護者も知ってほしい知識、家族全員で健康に

 具体的には「トレーニング後にサラダチキンとオレンジジュースをとるようになれば理想的です」と説明。多くの栄養素を含む野菜や低カロリーで高タンパクのササミ、疲労回復に必要な糖分やビタミンCの摂取を心がけ「それが習慣化してくれば少しずつ変わってくる」と期待を込める。継続するためにはストイックになりすぎないことも重要で「ずっと続けてやるのはしんどいので、メリハリをつけて取り組めればいい」と続けた。

 野球、食育、エンターテインメントを軸に開催した沖縄でのイベントは、来年も行う予定で、バスケットボールなど野球以外のスポーツも取り入れる予定だ。競技によって微妙に変化が出てくる食育に関しては、子どもだけでなく保護者にも聞いてほしい内容だと力を込める。

「話を聞けば料理の“引き出し”が増える。そうなれば家で食べるものも変わってくる。子どもに出すということは自分たちも食べるということ。おのずと自分たちの健康管理、栄養管理につながります」。再び沖縄県民は健康であるというイメージを強くできるかもしれない。

「一生懸命、野球が上手になりたい子がいて、自分の意見を持っていれば話を聞いてあげたい。そこに僕もぶつかっていくし、僕が知っている知識を伝えたい。身体能力が高い子が食育に目を向けて、実践していけば、野球に限らず世界で戦えるアスリートになれる。そんな子どもがもっと増えるんじゃないかと思っています」

 プレーする前提に健康な体がある。体が丈夫で順調に成長していけば、厳しい練習にも耐えられる。その結果、技術が向上する。幼少期の野球の上達に「食育」は欠かせない。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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