小手先の連続ティー打撃は「コネる癖がつく」 本物のスイングが身につく“3秒に1振り”

連続ティーは逆効果? 中学名門チームが警鐘を鳴らす…“小手先打ち”の罠と対策
打力向上の秘訣は基礎体力をつけながら、振る力を養うこと――。高校や大学で通用する打撃を身につけるヒントが、大阪の中学軟式クラブチーム「門真ビックドリームス」の練習にあった。春夏合わせて11度の全国大会出場を誇る強豪は昨夏の全国大会で準優勝に輝き、大阪大会で37度の優勝と圧倒的な強さを誇っている。
堅実な守備もさることながら、チームの売りは全員が長打を打てる打力。橋口和博監督が「振る力は自信を持っています」と口にするほどの強打を生み出しているのが「3秒ティー打撃」だ。これは3秒ごとに電子音が鳴り、選手は必ずボールを打つという練習法。連続ティーのように間隔は短くないが、体全体を使いフルスイングするため、“3秒に1スイング”はギリギリ間に合う絶妙な間隔となっている。
バットをグルグルと回し、コネるようなスイングになってしまいがちな「連続ティー打撃」との違いは明白。橋口監督は「早打ち、連ティーでは流れ作業になり小手先だけになる。バットをコネるような変な癖がついても意味がありません」と指摘する。3秒ティーでは1箱のボールを休みなしで打ち続けるため相当な体力が必要になるが、その分だけ体全体を使った本物のスイングが身につく。
興味深いのはバットの使い分けだ。グリップが太い特注、スイング軌道が実感できる砂が入った鉄棒、ノックバットなど様々な種類を用いる。橋口監督は「トップ、割れをしっかり作って大きく振る。バットも様々なものがあり、力がないとドアスイングになる」と語る。こうした工夫が強打者育成につながっている。
3秒に1回フルスイングという過酷な練習だが、その効果は絶大。橋口監督も「3秒に1回フルスイング。これが一番しんどいです」と認める。たとえ、中学時代に結果が出なくても、体の成長と共に打球の質は変わっていく。体幹を使ったスイングを身につけておけば、高校進学後にスムーズに硬式野球にも移行できるはずだ。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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