短縮ベーランで「脳に余裕」 やらされ練習脱却へ…中学強豪が取り組む“12mの秘密”

走塁練習をする門真ビックドリームスナイン【写真:橋本健吾】
走塁練習をする門真ビックドリームスナイン【写真:橋本健吾】

中学軟式の強豪「門真ビックドリームス」が取り入れる“短縮ベースランニング”

 野球において走塁は打撃、守備と同様に重要なスキルだが、効果的な練習法に悩む指導者は多い。春夏合わせて11度の全国大会出場を誇る大阪の中学軟式野球クラブチーム「門真ビックドリームス」の橋口和博監督は、独自の練習で選手の走塁技術を高めている。

 門真ビックドリームスの走塁練習は、他チームとは一味違う。本来の塁間は27.431メートルだが、12メートルに縮小した「短縮ベースランニング」を取り入れている。実際の半分以下の距離で行う理由を、橋口監督は「ベースランニングの練習は本来、走路を覚えること。長い距離を走るベースランニングは『しんどい、やらされている』練習になってしまうことがある」と説明する。

 相手のミスや隙をついて次の塁を奪うには高い走塁技術が不可欠になる。理想の走路は全てのベースを直角に回ることだが、物理的には不可能に近い。実際には外野の間を抜いた打球や守備のミスなどを確認できれば、ベースを蹴る前に「膨らみ」が必要になる。距離を短くした“極小ダイヤモンド”で練習することで、選手は走ることだけに集中することなく頭を使って走路を習得できるようになる。

 ベースの踏み方にも工夫がある。基本的に左側(内側)だが、角ではなく真ん中付近を踏むことを推奨している。橋口監督は「ベースの角は一番強度があるので怪我に繋がる恐れもあります。柔らかい真ん中付近を踏むことで、踏み忘れもなくなります」と強調する。

「12メートルなら脳に余裕が生まれ、それだけ集中して覚えることができる。打撃のチームと思われがちですが、走塁面はかなり重視しています」。走塁は勝敗を分ける重要な要素。小さい頃に正しいベースランニングを身に付けておけば、上のレベルに進んでも通用する走塁センスが養われる。走塁技術向上を目指す選手や指導者は、「短縮ベースランニング」を練習メニューに取り入れてみてはどうだろうか。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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