飛距離アップへ…スイングを速くする“3段階素振り” 早実V主将が推奨「3か月で効果も」

飛距離アップに繋がる3段階の素振りとは(写真はイメージ)
飛距離アップに繋がる3段階の素振りとは(写真はイメージ)

早実の元主将・後藤貴司氏が推奨…スイングスピードを上げる練習法

 強く遠くに打球を飛ばすには、速いスイングスピードが必要になる。そのための取り組みの1つとして、2006年夏の甲子園で優勝した早実(西東京)で主将を務め、現在、少年野球の指導にも関わっている後藤貴司氏は、バットの重さを変えた練習を挙げた。

「一番効果的だと思ったのは、重さを変えてスイングすることです。最初は重いバットを全身を使って大きく振る。その後に軽いバットで瞬発性を意識して振る。最後に普段使っているバットで振るんです」

 ポイントとなるのは軽いバットの時。バットが軽いため上体だけで振ってしまいがちだが、下半身もしっかり使って上半身との連動を意識しながら振ることが大切だという。「都市対抗常連の社会人チームでも、これを常に実践して3か月で全員スイングスピードが上がりました」と強調した。

 加えて体重管理も重要だという。「正確には除脂肪体重なんですが、ジュニアの場合は体重でいいと思います。夏場、エネルギー消費も激しい中、小学生だとご飯が進まない子もいて、どんどん痩せていく選手も多い。体重とスイングスピードってある程度相関性があるので、例えば毎週体重を測って管理し、夏場痩せやすい選手の傾向を見るとかもいいですね」。体重をキープするのも練習の一環となる。

 スイングスピードを上げるには「いろんな角度からのアプローチの仕方があります」という。「筋トレして除脂肪体重をつけるのが手っ取り早い」とする一方で、成長期の小中学生に大きな負担はかけられない。

「トライ&エラーを繰り返しながら、考えて量をやらないと」

 重さを変えてスイングする練習では、マスコットバットなどの重いバットで全身を大きく使う連動性が身につく。次に軽いバットで瞬発性を養う。「その体感そのままに普通のバットを使うんです。体幹トレーニングにもなりますし、体の力を効果的にバットに伝える練習になるのでとても効果的だと思います」と力を込めた。

「ただ、スイングスピードを上げることは重要なのですが、投手が打たせないように投げてくるボールにコンタクトしなければ意味がありません。子どもたちには、フルスイングしてもボールにしっかりコンタクトできるかも考えながら練習してもらっています」

 自分の考えを押し付けないのが後藤氏の基本的なスタイル。その中で子どもたちの考えを聞くことを心がけている。「『なんでそう思うの?』って聞いています。課題が出てきたら『なんでできないと思う?』と聞いて考えさせます」。その理由を「僕が答えを言うのは簡単ですが、それが選手にとってベストかは別だと思っています。質問の仕方によってもどこまで話すかとか、結構ありますよ」と説明する。

「本人の感覚と言ったことが一致する『これだ!』という選手の気づきをどうつくるかだと思うのですが、やっぱりある程度トライ&エラーを繰り返しながら、考えて量をやらないと本当に自分のものとして“体得”するのは難しいですよね」。簡単には答えにたどり着かない。指導者も子どもも、“急がば回れ”である。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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