球速アップの鍵、“並進運動”を強くするには? 無意識に筋肉が使える「10秒プッシュ」

強い並進運動を身につけるための練習法とは(写真はイメージ)
強い並進運動を身につけるための練習法とは(写真はイメージ)

オリックス、MLBのナショナルズでトレーナーを務めた高島誠氏

 球速を上げたい、体重移動がスムーズにいかない。そんな悩みを抱える野球少年や指導者は多いだろう。投球動作において、軸足から踏み出し足への「並進運動」(体重移動)は大きなエネルギーを生む鍵となる。オリックスやMLBのナショナルズでトレーナーを務めた実績を持つ高島誠さんは、壁を使ったシンプルなトレーニングで、この動きを劇的に改善する方法を推奨している。

 多くの選手は「軸足に体重を乗せる」意識を持つが、右投げの場合、右足だけで踏ん張って体重移動をしようとしても力は発揮しにくい。高島さんは「右足だけでやるんじゃないよ」と指摘する。自分にとって踏み出し足側(右投げは左足)が使いやすい場合もある。その感覚を確認しながら、しっかりとお腹に力が入った状態で、軸足の外旋動作(外側に回す動き)を使うことで、強い並進運動が生み出せるようになるという。

 具体的な練習方法は「壁プッシュ」と呼ばれるものだ。壁、もしくはパートナーの手をグラブ側の手で押す形をとる。まず「お腹を入れて」体幹を安定させる。その状態で、軸足の外旋を意識しながら、並進運動と同じ形で壁や相手の手を押し込んでいく。この時、全身の連動を使って強い力で押し込む感覚を掴むことが重要だ。

 負荷のかかるトレーニングだが、まずは「10秒キープを5セットぐらい」から始めると良い。慣れてきたらセット数を増やしていく。高島さんは「完投したい投手にとっては、とても重要なとこ」と語る。地味で非常に「しんどい」メニューだが、これを継続することで、球速アップだけでなく、肩や肘を守ることにも繋がる。

 高島さんは、登板するタイミングに合わせてこのドリルを行い、使う筋肉を「あえてちょっと筋肉痛にしておくのもいいでしょう」とアドバイスを送る。刺激が入った状態であれば、マウンドでもその筋肉を無視できず、自然と使えるようになるからだ。自分なりの調整法を見つけ、無意識レベルで強い並進運動ができるようになれば、ピッチングの質は大きく変わるはずだ。

(First-Pitch編集部)

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