小1からユニホームを「自分で手洗い」 食品の裏面も確認…“野球名門一家”の教育方針

北海道日本ハムファイターズJr.で主将を務める丹場泰生
「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」(12月26日開幕、神宮球場、横浜スタジアム)に出場する北海道日本ハムファイターズジュニアを強烈なリーダーシップでけん引するのは、丹場泰生(たいせい)主将(6年)だ。「声がよく出て、チームをまとめる力がある」と吉田侑樹監督の信頼を勝ち取り、チーム結成と同時に主将に指名された。
ファイターズジュニアが選手に求める「自分で考える力」の持ち主でもある。今夏の全日本学童大会マクドナルド・トーナメントで16強入りした強豪チーム「東16丁目フリッパーズ」で、4年生からレギュラーをつかみ、公式戦で投手以外の全てのポジションを経験。打撃でも野手の間を狙ったり、セーフティーバントを試みたりと状況判断に優れ、全国大会の舞台にも慣れている。
「道具を率先して並べたり、いろんなところに気が利く」と吉田監督も一目置くほど、グラウンド内外で視野が広い。それは、3歳から手ほどきした北照高野球部出身の父・康雄さんの教えが大きい。遊撃手だった父から「試合でボールに触っている時間は1分もない。それ以外の時間も周りの動きを見て声を出すことで、チームに貢献できる」という教えを叩き込まれた。だから、自分のアピールポイントを問われると、丹場くんは真っ先に「チームを引っ張る声」と答える。
率先して行動できるのは、丹場家の教育方針の影響もあるかもしれない。康雄さんは「野球を始めた時からユニホームは自分で洗いなさい、それも含めて野球だよと話しています」と明かす。丹場くんは小学1年生で本格的に野球を始めて以来、泥だらけのユニホームは自分で手洗いしてから洗濯機に入れる。「自分のできるところまでは自分で。お兄ちゃんもそうだったので」と当たり前のこととして捉えている。
ファイターズジュニアの先輩でもある兄・祥平さんの背中を追いかけてきた。北照高に在籍する兄は、今秋の全道大会で優勝し、来春の選抜出場を確実にしている。兄がファイターズジュニアに選出された2020年、小学1年だった丹場くんは毎回練習について行った。ちょっとした練習に交ぜてもらうこともあり、このチームを目指すことは、自然の流れだった。

球場で五十幡のリードや帰塁をじっくり観察
野球一家に育った。兄弟は父から野球を教わっていたが、当時住んでいた積丹(しゃこたん)町には学童チームがなかったため、兄が小学5年の秋に一家で札幌に転居。東16丁目フリッパーズに入団した。向上心旺盛に自分ができることを追求し、メキメキと頭角を現した。ここ2年ほどは「足はそれほど速くはないので技術を磨こうと思った」と日本ハムの試合を球場で観戦し、五十幡亮汰のリードや帰塁をじっくり観察。自身の走塁に生かし、三盗を得意とする。
ジュニアの活動で教えてもらったことを、即実践する素直さも持っている。食育の指導を受けてからは、スーパーに買い物に行くと、裏面の成分表示を見て、たんぱく質の含有量などを確認することが習慣になった。康雄さんは「練習前なので糖質を多めにとっておきたい、液体じゃなくて固形のものがいいからバナナにしておくとか、そんな話を自分からするようなりました。スポーツ科学を知って、意識が変わったようです」と目を細める。
ジュニアトーナメントは、丹場くんにとって小学6年間の集大成を見せる舞台になる。「去年は準優勝。2度と悔しい思いはしたくない。みんなでいつも通りやれば絶対に勝てる」と力強く言い切った。走攻守、そして“声”で14年ぶりの頂点へ先頭を走る。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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