「ボールをよく見て」はなぜ危険? 成長の妨げも…イチロー氏から学ぶ“打撃練習の罠”

「選球眼が嫌い」「手を使う人間は限界」…高校指導時の“金言”から学ぶ
打撃指導で良かれと思って取り組んでいる練習が、逆に成長を妨げることもある。日米通算4367安打を誇るレジェンド、イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が各地の高校で指導してきた“金言”から、改めて今の取り組みを見直し、新たなバッティングを築くヒントを探りたい。
・「ボールをよく見ろ」という言葉の危険性は何か。
・定番の練習メニューが悪癖につながるリスクとは。
・素振りの量だけこなしても上達しない原因は何か。
「選球眼という言葉が僕は嫌い」。イチロー氏は、静岡・富士高での指導で「ボールをよく見て」という言葉に懸念を示している。目だけでボールを追うと、視線が捕手まで動いてしまう恐れがあるからだ。同氏はこれを「絶対ダメ」と表現し、代わりに「選球体」という考え方を提唱。目だけではなく、体全体で打てる球か否かを判断する手法だ。特に下半身の使い方を覚えることが大切で、自身の状態が良い時の打球や感覚を知っておくことも、精度高く見極めるポイントになるという。
「手を使う人間は限界が来る」。沖縄・宮古高で指導した際にイチロー氏が強調したのもまた、下半身の重要性だ。トスバッティング(ペッパー)で、手先で操作すると悪癖がつくため、足でコントロールする意識が大切になるという。そのベースとなるのが「正しいスクワット」の姿勢。膝がつま先より前に出ないよう、股関節に上半身を乗せるイメージを持つ。アベレージを残すには、点で捉えるのではなく、股関節を投手方向に入れて“線”で軌道に入れる技術が必要といい、何より「鍛錬を重ねるしかない」と語っている。
「良くない形で1000スイングするなら、しない方がいい」。イチロー氏は大阪・大冠高で行った指導で、練習の「質」についても言及した。素振りを闇雲に繰り返しても、悪い形のまま行えばマイナスになる可能性がある。回数を減らしてでも、“正しい形”で丁寧に行うことを勧めている。これはキャッチボールや走塁にも通じる考え方だ。短い距離で確実に投げることや、股関節を使って地面をつかむような走りを意識することで、技術は劇的に変わる。効率よりもクオリティを優先したい。
超一流の教えは、闇雲な回数よりも身体の使い方と練習の質を重視している。基礎を大切にし、1つ1つ丁寧に積み重ねていくことが、大きなことを成し遂げる道につながる。
・ボールを目で追わず、下半身主導の「選球体」で見極める。
・バット操作は手ではなく足で行い、股関節を活用する。
・悪い形で量をこなすことを避け、まず正しい形をゆっくり反復する。
(First-Pitch編集部)
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