山本由伸は「投げたい方向に向いている」 元MLB右腕が力説…制球力に重要な“足の内側”

特徴的なフォームでボールを投げ込むドジャース・山本由伸【写真:荒川祐史】
特徴的なフォームでボールを投げ込むドジャース・山本由伸【写真:荒川祐史】

岩隈久志氏が野球教室で伝授した制球安定の極意…軸足の内側は「本塁に正対」

 制球力向上の鍵は、軸足の向きにあるーー。東京都西東京市の岩倉高グラウンドで12月14日に行われた「GRAFARE(グラファーレ)ジュニア野球教室」に近鉄や楽天、マリナーズで活躍した岩隈久志氏、元ロッテ監督の井口資仁氏らが参加。岩隈氏は24チーム241人の小学生に、投球で意識しているポイントを明かした。

「(右投げの)僕が一番意識しているのは、左足を上げた時に軸足の右足でしっかり立つこと。グラグラしていると、投げる方向に左足をしっかり踏み出せなかったり、体がブレてしまいます。まずはしっかり右足で立って、それから投げたい方向に真っすぐに左足を踏み出します」

 日米通算170勝右腕は二段モーションで投球していた時期もあり、まずは右足にしっかり体重を乗せることを意識。そこから左足に体重移動して勢いのある球を投げ込んでいた。

 踏み出す左足が一塁側や三塁側にずれると、「踏み出した方向に球がずれます。抜けたり引っかけたりするし、体への負担も大きくなる」と指摘。「最後は左足にしっかり乗せて真っすぐ立つ。フィニッシュまで決めると、コントロールが良くなります」と実演を交えて解説した。

 もう1つ大事なのが、しっかり立った時の軸足の向き。右投手の場合、つま先が三塁方向を向き、足の内側が本塁方向に正対する形が理想だという。「キャッチボールの時、軸足が開いていたり、逆に閉じている子どもは結構います。軸足の内側が投げる方向を向くことで反対側の足が、より投げたい方向に出しやすくなります」と強調した。

 すると、同じく講師として参加していた日本ハム外野守備走塁コーチの森本稀哲氏が「1ついいですか?」と岩隈氏に質問。「(ドジャースの)山本由伸投手は左足を上げずに投げるじゃないですか。その辺りはどうですか?」との問いに、「山本由伸投手の投げ方は凄く理想的です」と答えた。

 山本の場合、左足をほとんど上げずに、すり足のように踏み出す。右足でタメを作っている時間が極端に短いように見えるが、「右足一本で立ってピタッと止まらなくても、絶対に軸足の内側が投げたい方向に向いているんです」と力を込める。さらに「右足でしっかり立つ形にはなっていないけど、軸足の内側が投げる方向を向いているので推進力を出せている。だから、ああいうフォームでも速い球を投げられているんです」と続けた。

投球フォームを実演する岩隈久志氏【写真:尾辻剛】
投球フォームを実演する岩隈久志氏【写真:尾辻剛】

三振を取るより重要な「どうやってチームでアウトを取っていくか」

 まずはどんなフォームでも軸足の内側を意識することが重要と繰り返した岩隈氏。次に踏み出した左足が着地した際に言及し、「体が開かないように気をつける。胸が真っすぐ三塁側を向いているように我慢できると、より強い球が投げられます」と説明した。

 そうなると、「体がしっかり回ってきた時に肩幅の中に球が収まるようになる」という。正確無比な制球も大きな武器だった右腕は「そこまで意識できればコントロールが良くなる」と語りかけた。

 トップの位置については「なるべく高い位置で、耳の近くにある方が理想」と主張。腕の位置が低いと「リリースのタイミングが遅れる」とし、「そうならないように練習からトップの作り方を意識してほしい」と訴えた。

 トップの位置が決まれば、残すは腕の振り。「腕を強く振ろうとせずに体をしっかり回せば、腕は勝手に出ます。それぐらいの感覚で我慢して体を回す。そうすると勢いのある球がピュッといきます」と極意を伝えた。

 制球力向上の秘訣を小学生から問われ、「キャッチボールが本当に大事。常に相手の胸に同じような球を投げることです」と力説。試合でどうしても力みが生じやすいが、「最初は真ん中辺りに、バランスのいいフォームで投げられればいい」と細かい制球を気にするより、ストライクを取ることを優先すべきと説いた。

「厳しいところに投げようとするのではなく、打たれてもいいからストライクゾーンでどんどん勝負すればコントロールが良くなっていく。投手にとって三振を取ることが大事なことじゃない。どうやってチームでアウトを取っていくかが大事。前に飛ばされても守ってる野手がいる。アウトにできれば0点に抑えられる。自信もつきます」

 基本のキャッチボールを大事にすること。軸足の内側をしっかり本塁方向に向けること。トップの位置は高くとること。腕を強く振る意識は必要ないこと。そして、打たれることを恐れずにどんどんストライクを投げること。“岩隈先生”の講義には、小学生の制球力アップへのヒントがいくつも詰まっていた。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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