多彩な球種は“至難の業” 変化球は「2、3種に絞って」…桑田真澄氏が主張する理由

桑田真澄氏が「デジタル野球教室」にスペシャルコーチとして参加
投手に“多彩な変化球”は必要ない――。ライブリッツ株式会社が主催する「デジタル野球教室」が2025年12月21日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われ、同年まで巨人2軍監督を務め、2026年からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任する桑田真澄氏がスペシャルコーチとして参加。硬式野球クラブに所属する中学生30人に、変化球についての持論を展開した。
「今の投手は変化球をたくさん投げすぎています。僕がお勧めするのは、1つずつしっかり磨いていくということ。50点の変化球を4種類持っているのと、90点の変化球を2種類持っているのだったら、絶対に90点を2種類です」
カーブやスライダー、フォーク、チェンジアップといった代表的な変化球に加え、近年はツーシーム、カットボール、シンカー、スイーパーなども駆使する投手が増えている。「今の投手は7、8種類を持ち球にしています。でも、その7、8種類の精度がどうなのかというと、大したことがないんですよ」。1種類の変化球でも、極めるのは難しい。まして複数の変化球を全て一級品とするのは至難の業である。
「高校、大学、社会人、プロと、上のステージに行けば行くほど小細工は利かなくなります。ですから直球以外に緩急をつけるカーブかチェンジアップ、フォーク。あとはスライダー。それぐらいでいいと思うんです。変化球は3種類ぐらいに絞りなさいと言っています。3つを50点ではなくて80点以上にしていくように。それで十分だと思います。そうすると『1軍で戦えるレベルになるよ』と話しています」

「2つか3つに絞って、精度を上げていくことをやってほしい」
NPB通算173勝を挙げた桑田氏が得意だった変化球は、大きく縦に割れるカーブ。巨人の後輩エースである菅野智之(現オリオールズ)、戸郷翔征の名前を挙げ「菅野といえばスライダー、戸郷といえばフォークです」と解説。「『これだ』という武器を身につけていけるといい。それが2つ、3つと増えていけば一番いいですね。あまり多くの球種を投げないで、2つか3つに絞って、精度を上げていくことをやってほしい」と訴えかけた。
同席していた元ヤクルト外野手で侍ジャパンの元スコアラー・志田宗大氏(現中日ゲーム戦略アナリスト兼コーディネーター)も「実際に6、7種類の球種を持っていても試合で使うのは3、4種類しかない」と解説。ドジャースの山本由伸投手を具体例に挙げ「多彩な球種を投げられますけど、メジャーリーグでは直球とカーブ、スプリットが中心」と説明し「シンプルに削っていった方がいい。使える球と使えない球が分かれます」と力を込めた。
そんな中で、桑田氏はブルペンでは直球に加えてカーブも実演して投球。デジタル野球教室らしく「回転数が直球より増えている。カーブは回転数を増やして曲げる変化球なんです」と解説しつつ「カーブを真ん中高めに投げていたら打たれます。低めに投げないといけません」と説明した上で低めに投じた。
どんなにいい変化球でもコースを間違えると痛打される。「データはそういう活用の仕方です。数字ばかりを追うと、打者を打ち取るということを忘れてしまう。目的は打者を打ち取ること。逆算して考えようと、いつも提案してます」。変化球は球種を厳選して磨き上げ、低めを意識することが大事。それが安定することで、打者を打ち取る近道となる。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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