野球離れに危機感も、普及は「難しい」 物価高騰、共働き…子どもを取り巻く“現実”

野球人口減少に歯止めを…BC埼玉・角晃多球団社長が描く“新たな試み”
少しでも野球人口の増加に寄与したい思いがある。プロ野球独立リーグ、ルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズは、地域貢献活動の一環として年間200回以上の野球教室を開催している。元ロッテ内野手で球団社長を務める角晃多氏は、こうした活動が本当に普及につながっているのか疑問を抱きつつ、新たな施策について言及した。
「中学校では部活がどんどん廃止されていると聞きます。部活の外部委託、地域移行も始まっている。市なのか中学校なのか、そういうところに、我々のような地域のローカルスポーツが入っていって、『じゃあ野球部はウチが見ましょう』ということができるようになってくると、野球人口増加に初めて寄与できるところまでいくのかなと思っています」
少子化の影響もあり、子どもの野球人口も大きく減っている現状に危機感を抱く。一方で「普及に関しては、あまり大きいことは言えません」という。「大前提として、自分たちがどんなに活動しても、本当に普及につながるかというと、つながっていない要因がいっぱいあると思っているんです」。
チームの活動が普及につながりにくい背景として、3つの要因を挙げて説明した。1つ目は、公園でキャッチボールができない環境に変わってきていること。以前のように、近所で野球を楽しめる場所が少なくなっていることで、野球に触れる機会が自然と減ってしまっているという指摘である。
2つ目は保護者の問題。「土日に子どもの野球のためだけに時間を割けるか割けないかとなると、割けない家庭が多いと感じます」。共働きの家庭が増える中で、チームが終日練習するケースが多い土日に、子どもと一緒に野球に取り組めない家庭が出てくるのは仕方がないことである。

きっかけは「トッププレーヤーに作っていただく」
3つ目は道具の高騰だ。近年の物価高の影響もあり「少年野球でも、上から下までそろえようと思ったら10万円ぐらいしてしまう時代」と説明。グラブやバット、スパイク、ユニホーム、ソックスなど必要な道具を一式そろえるのは簡単ではないのだ。
「だから、どれだけ我々が実直に地元の子どもたちを支援して夢を作ったとしても、現実的に難しい部分があります。野球をやらない、やれないということが凄く多いんです。野球教室などの活動自体は球団の認知だったり、野球というものを知ってもらうためにとてもプラスだと思います。ただ、競技の人口増加につながっているとは思っていません。それは全く別軸でやっていかないといけないと思っています」
そこで考えているのが、冒頭の中学校の部活動をサポートする動きである。実現には「時間がかかる」とする一方で「野球を知っているか、知ってないかでは圧倒的に違うと思います。知っているというのを、どこまで演出できるか。それが今、野球人口増加に向けて自分たちが最大にできることかなと思っています」と前向きな姿勢を示した。
子どもが野球を始めるきっかけについては「正直、トッププレーヤーに作っていただくのが一番」とMLBやNPBの一流選手に期待する。「我々がそんなところをやろうとは思っていません。自分たちの役割分担を考えています」。できるところから少しずつ。根底にあるのは、野球界のさらなる発展を願う気持ちだ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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