「猛ノック女子マネージャー」が恐れた“偏見” メディア注目に悩みも…見出した役割

「第3回マネージャーサミット」に登壇した新宿高校OGの三石結菜さん
高校野球のマネージャーは、チームにとってどんな存在であるべきなのか。1月18日に行われた「第3回マネージャーサミット」に、都立新宿高校でマネージャーを務めた三石結菜さんが登壇。かつて“猛ノック女子”として注目されたものの、不安に感じていた“偏見”とは。示した後輩たちへのメッセージとはーー。
小学生で野球を始め、中学校でも女子野球の強豪軟式クラブチーム「深川クラブ」で主将を務めるなど、まさに野球とともに人生を歩んできた。しかし、中学最後の夏の全国大会予選で敗退し、野球から離れようと思ったという。「プレーするのは楽しかったんですが、チームを引っ張るのが辛い時の方が多かったんです」。
くすぶった気持ちを見逃さなかったのが、同校で助監督を務める田久保裕之教諭だ(当時は監督)。「入試の面接でたまたま担当したんです。コミュニケーション能力が素晴らしかったのと、自己紹介欄に野球をやっていると書いてあったんですが『もう野球は……』と言っていて、これは野球界の損失だと思いました。入学式ですぐ『マネージャーをやってみないか』と声をかけにいきました」。
入学後は、すぐさま期待通りの成長を見せたという。「先輩と同じレベルのことをすぐ求めて、『オリジナリティを出していけ』と話していました」。選手時代の経験を活かして、すぐにスコアを書けるようになった。守備練習の人数が足りない時は本職だった二塁を守り、内外野に飛ばす鋭いノックは“猛ノック女子”として取り上げられた。2022年秋にイチロー氏が新宿高の指導に訪れた際は、キャッチボール相手に指名され、本気の球をキャッチした。
一方で、自身の立場に悩んだこともあったという。三石さんは当時を振り返る。「女子マネージャーがノックすることに、嫌な顔する人もいるじゃないですか。力も打球も弱いからそもそも練習になるのかとか」。どこまで声をかけていいか悩むことや、メディアに注目されることへの不安もあった。

「選手とマネージャーに壁なんてないと思えました」
しかし、それは杞憂だった。ノックだけでなく、気づいた時には選手から「今日の守備の動きどうだった?」と、アドバイスを求められるほどの関係性になった。「選手とマネージャーに壁なんてないと思えました。全部受け入れてくれたチームメートがいたおかげです」。
2025年3月に高校を卒業し、現在は薬学部のある大学に通う1年生。学業の合間にラジオ局でプロ野球中継アシスタントのアルバイトをするなど、また違った形で野球に関わっている。
母校で行われた今回のマネージャーサミットに参加し、オブザーバーとして現役生にさまざまなアドバイスを送った。自分と同じような“元選手”のマネージャーが複数いたことに驚きながら、「女子でもマネージャーでも、チームのためにできることは沢山あるんです。みんなにも、前例にとらわれずにどんどん活動の幅を広げてほしいですね」と、目を輝かせた。
(磯田健太郎/Kentaro Isoda)
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