フライの落下地点を誤るのはなぜ? 運動音痴は思い込み…野球が上達する“空間認識トレ”

野球で重要な「空間認識能力」を伸ばせる練習とは(写真はイメージ)
野球で重要な「空間認識能力」を伸ばせる練習とは(写真はイメージ)

3人の専門家が説く、野球における「空間認識能力」の重要性

 少年野球で「フライを捕れない」「速い球を打てない」などの悩みの原因は、空間認識能力の低下にあるかもしれない。特に近年は、子どもたちの外遊びの機会減少で、転んだ時に手を出せず、地面に顔を打ち付けるケースも多いと言われる。物の位置や状態を認知し反応する能力は、野球の上達の鍵を握る。専門家の知見から解決策を探ってみよう。

・ボールの落下地点を正確に把握できない原因は何か。
・恐怖心を取り除きながら能力を高める方法は、どのようなものか。
・将来の怪我を防ぐために、低学年のうちから取り組むべき運動は何か。

 元楽天投手でコーディネーショントレーナーの土屋朋弘さんは、運動神経は生まれつきではなく、後天的に身に付くものだと語る。近年は外遊びの減少により、物の位置を把握する「定位」能力の低下が顕著であり、これがフライを捕れないなどの課題に直結しているという。解決策として、あえて「後ろ向きに歩かせる」といった少し危険な状況を経験させ、周囲の状況を判断する力を養うトレーニングを推奨。指導の際は、失敗しても挑戦を認める「ナイスチャレンジ」の声かけが何より大切になってくるという。

 東京農業大学の勝亦陽一教授は、低学年や未経験者に対して、遊びの要素を重視した指導を提案している。例えば、グラブを使わずに2人1組で同時にボールを投げて捕るメニューは、相手との距離感や捕球のタイミングを掴む練習として有効だという。また、ゴロを転がしたりワンバウンドで投げ合ったりすることで、力加減や地面の弾み方を調整する感覚も自然と養われる。子どもが飽きずに楽しめるよう難易度を変化させることが、自ら工夫してクリアする達成感に繋がり、結果として瞬時の反応力が向上すると語る。

 オリックス・森友哉選手の専属トレーナーを務める久米健夫さんは、空間認識能力こそが野球上達の近道であると語っている。身体機能が低下したまま成長期を迎えると、体の歪みから怪我を招く恐れがあるため、幼少期からの土台作りが欠かせないという。久米さんが勧めるのは、前転や側転といった回転系の動きを行うドリル。三半規管(耳の奥にあるバランスを司る器官)を刺激し、平衡感覚や柔軟性を高めることができる。自分の体をイメージ通りに動かす力は、プロ選手も徹底して磨く重要な要素と言える。

 少年野球の現場をよく知るプロの知見は、子どもたちの運動神経向上のヒントになる。遊びやシンプルな練習の中から、将来の野球での飛躍に繋がる土台を築いていきたい。

・あえて“危険な状況”へのチャレンジが、定位能力の欠如を克服する。
・2人1組での同時投球や後ろ歩きで、野球に必要な「反応」を楽しく鍛えられる。
・「回転運動」で三半規管を刺激することは、将来の怪我予防にも繋がる。

(First-Pitch編集部)

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