攻守交代は全力ダッシュ…怠れば主力もベンチ 日本代表輩出の強豪がこだわる“約束事”

長崎ポニー・松尾大吾監督が語る…目標は「全国制覇」と公言するワケ
常に日本一を目指すと公言し、選手を鼓舞している。中学硬式野球の「長崎ポニーベースボールクラブ」は、2022年4月に創設。間もなく、活動5年目に突入する。過去4年間で全国大会に4度出場し、最高成績は3位。創設初年度から全国舞台に導いた松尾大吾監督は、目標を口にすることの重要性を説明した。
「常日頃から子どもたちには『全国制覇』というのは言っています。言葉に出して言わないと、相手に伝わらない。高いところを目指していないと、そこにはたどり着けません。練習でも抜いたプレーをしていたら『そいで全国制覇できるとか?』『その練習でよかとや?』と言っています」
自身は柳川高(福岡)2年時の2000年に春夏連続で甲子園ベスト8。1学年上の先輩が「全国で優勝する」と目標を掲げていたことで「全国制覇できるかも」と考えるようになったという。九産大4年時の2005年には明治神宮大会で初優勝。その時もチームメートが大会前から「全国制覇」を口にしていたそうで、「自分も気づかされました。『全国で優勝するぞ』という思いにさせられたんです」と当時を思い起こした。
元々は「リスクを考える方」とネガティブ思考。最悪の事態を想定してリスクマネジメントするタイプだが、実体験からポジティブ思考の大切さを感じている。「田舎のチームですけど、みんな向かっているのは全国制覇。普段から意識することが重要です。練習でも低いレベルではなく『もっと上を見ろよ』と話しています」。
選手の意識は高く、これまで4年間で4人が日本代表入りを果たしている。昨夏は3年生の川上凜、小宮夢冴士、2年生の永田泰庄がポニー日本代表に選出され、川上はU14、永田はU13でそれぞれ全試合で4番を担った。
日本代表メンバーの存在はチームを活性化させる。「日本代表での感想を他のメンバーにも伝えさせています。行けなかった選手は『ああ、凄いな』と思うようではダメ。『悔しい』と思ってほしい。『次は自分が行くんだ』という気持ちにならないといけない」。チーム内でも切磋琢磨して成長につなげたい思いがにじむ。

全力疾走がチームの決まりごと…攻守交代も必ずダッシュ
全国で勝つために練習や試合で意識するのは全力疾走だ。社会人野球の三菱重工長崎でプレーしていた時の決まりごとを、長崎ポニーでも徹底している。打者が一塁へ全力で走るのは当然のこと。攻守交代も必ずダッシュする。
攻守交代での全力疾走については「試合も練習の一環。7イニングあれば、14本走れます。数多くダッシュできて、自然と下半身強化になります」と説明。全力疾走を怠った選手には一度注意し、もう一度同じような場面があるとレギュラーでも躊躇なくベンチに下げるという。
「全力疾走ができなければ試合でも代えます。本人にその気はなくても、抜いて走るのが癖になっている子もいます。代えられることで気づいていってほしい。練習でも抜いたプレーは怪我の原因にもなりますし、全力疾走は常に意識してほしい。最近は抜いたプレーがあると、選手同士で指摘するようになってきました。そうなると楽ですね」
バント練習では、ファウルや強すぎる当たりなど失敗と判断されると約90メートル先のフェンスまで往復ダッシュ。練習の最後には、本塁から中堅奥まで130~140メートルほどの距離を全力で往復する。設定したタイムを切れないと、もう1本追加。足が速い選手が、走るのが得意ではない選手の背中を押してあげるなど、厳しさの中に仲の良さと楽しさも垣間見える。
時には笑いを交えながら、選手を鼓舞する松尾監督は「野球を楽しくやってほしいし、やる気を削らないようにいつも考えています」と語る。「よく『心技体』と言いますけど、私は「心・体・技」だと思っています。心があって、健康な体があって、最後に技術がついてくる。一番大事なのは心です」。ハードなメニューを終えた選手の表情は充実感にあふれている。
高い目標を見据え、厳しく楽しく全力で取り組む。創部5年目を迎える若いチームは、長崎から日本の頂を目指す。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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