「1つの守備位置しかできない子」が増加中 怪我リスクも大…“市場価値”にも影響

少年野球のポジション固定が生む“弊害”とは(写真はイメージ)
少年野球のポジション固定が生む“弊害”とは(写真はイメージ)

守備位置固定は子どもの可能性を狭めるリスク…元プロや名将の見解とは

 学童野球の現場で多いのは、子どもたちの守備位置を固定すること。“スペシャリスト”にした方が監督は指揮しやすく、目先の勝利を得やすいかもしれないが、そうした大人の“決めつけ”は子どもの可能性を狭めるリスクがある。成長を最大化させるのは、複数守備を経験させ、適性を見極めていくこと。現場の起用法が将来に及ぼす影響について提起したい。

・守備固定は選手の出場機会や積極性にどう影響するのか。
・チーム力向上のために、なぜ“流動性”が必要なのか。
・進学や怪我防止に複数守備の経験はどう役立つのか。

“プロの登竜門”「NPBジュニアトーナメント」に出場する埼玉西武ライオンズジュニアを指揮する、元投手の星野智樹監督は、限られた守備位置しかできない小学生が増えている傾向に懸念を示している。ジュニアのような限られた人数で戦う場では複数を守れることが重要だが、「『ここできる?』と聞いたときに、『え……』となってしまう子もいる」という。「僕できます」と即答できる積極性が成長に欠かせないと分析。アカデミーでは全員に全ての役割を経験させており、貪欲に複数ポジションに挑戦する姿勢が、上のレベルを目指す上での財産となるという。

 学童野球の強豪、滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、大会直前までポジションを固定しない方針をとるという。特定の守備位置に決めてしまうと、伸び盛りの小学生の可能性を摘み取ってしまうからだ。辻監督は、チーム全体の評価点を最大化させる組み合わせを追求。たとえ個人の評価が最高でなくても、全体の合計点が高くなる布陣を敷くことで、総合力は向上するという考え方だ。吸収力の高い小学生のうちは、固定を急がず可能性を探り続けることが、結果として控えのレベルアップや選手層の厚みにもつながり、強豪としての地位を築くことになる。

 毎年のように甲子園常連校へ選手を輩出している中学硬式・南大阪ベースボールクラブ(南大阪BBCポニー)では、高校以降のステージで“売れる選手”を育てるために、複数ポジションの練習をさせているという。特に、一塁や左翼しか守れない選手は、将来的にチャンスが限定される。選手の性格や成長を見極め、投手と外野、捕手と内野といった複数の役割を経験させることは、体の特定の部位への負担を分散させ、怪我の防止にもつながる。目の前の勝利以上に個を伸ばし、次の舞台で通用する多様性を身につけさせることが重要だという。

 早い段階からスペシャリストにするのではなく、多様な経験を積ませることが小・中学生の飛躍の土台となる。指導者は自分都合の目先の勝利ではなく、選手の将来を見据えた起用を心がけたい。

・複数ポジションの経験は、選手の自信を生み、出場機会を増やすことに繋がる。
・複数ポジションの経験は、チーム内競争の活性化や選手層の厚みを生む。
・複数ポジションの経験は、怪我を防ぎ、上のレベルに進んだ時の“市場価値”も高まる。

(First-Pitch編集部)

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