SNSの“裏技”に飛びつく子が増加中 野球上達に効果も…「プロの真似」に潜むリスク

令和の少年野球指導の新常識…ネット社会のフォーム作りと導き方
インターネットやSNSを通じ、憧れの選手の動きや練習法を動画で手軽に学べるようになった現代は、子どもたちにとって幸せな環境だが、そこには意外な落とし穴も隠れている。身体が成長途中の段階で、プロ特有の動きを形だけ真似てしまうと、思わぬ怪我を招く心配があるからだ。“裏技”を欲する子どもたちに、指導者や保護者はどのように声を掛ければ良いのか。真似に潜むリスクと、大人の心がけをまとめてみたい。
・プロの投げ方を真似する時、どんな動きが故障の原因になりやすいのか。
・真似を始めてから調子を崩してしまった場合、何を見直せばよいのか。
・動画で知識を深める子どもに対し、大人はどう接するのが理想なのか。
野球塾「Perfect Pitch and Swing」の長坂秀樹さんは、憧れのプロ選手を真似することは肯定しつつ、安易な模倣には注意を促す。例えば、大谷翔平投手(ドジャース)らの「ショートアーム(肘をコンパクトに畳む投法)」。圧倒的な筋力を持つプロだからこそ成立する技術であり、小・中学生が形だけを追うと、肘への負担が急激に高まり故障に繋がる恐れがある。長坂さんは、トップを作る時の肘の角度が90度を下回らないようアドバイスしており、まずは「怪我をしない体の使い方」を身につけることが夢への近道になると語っている。
中学硬式の強豪、関メディベースボール学院の藤田真悟トレーナーは、真似をすること自体は、脳と筋肉の連動を高める素晴らしい練習法だと考えている。しかし、柳田悠岐外野手(ソフトバンク)のような豪快なスイングを真似しようとしても、実は目に見える形とは違う「正しいバットの軌道」が隠されているという。もし真似をして結果が出なくなったのならば、動きの本質がズレているサインだと指摘。股関節に力を溜める動きなど、一流選手に共通する土台の部分を一緒に見つめ直すサポートが、上達には欠かせないと語る。
ソフトバンクのアカデミーコーチとして小学生を指導する若林隆信さんは、YouTubeなどで知識を蓄える現代の子どもたちを否定せず、まずはその意図を汲み取ることが大切だと述べている。大人が「それはダメだ」と突き放せば、子どもは心を閉ざしてしまうが、「こういう狙いなんだね」と寄り添えば、アドバイスに耳を傾けてくれるようになる。若林さんは、指導者自身も動画などをチェックして知識の引き出しを増やし、壁にぶつかった時に別の選択肢を提示できるような、一番の理解者であるべきだと語っている。
プロの技術を参考にする際は、外見をなぞるだけでなく、子どもの成長段階に合わせた導き方をしていくことが大切だ。大人が学び続け、温かく見守ることで、子どもたちの憧れは本物の力へと変わっていく。
・一流の技術は強靱な筋力があってこそと理解させ、まずは正しい体の使い方習得へ導く。
・真似をして調子が上がらないならば形にこだわらず、体の使い方などの共通点を確認する。
・子どもの考えを否定せずに受け入れ、大人が新しい選択肢を提案して支える。
(First-Pitch編集部)
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