入団後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐには 学童野球のトラブル招く“共有不足”

入団前の説明会は信頼関係の第一歩…指導者が自らの言葉で伝える「野球観」
学童野球の現場で絶えない悩みの1つが、指導方針を巡る保護者と指導者のトラブルだ。こうした揉めごとを未然に防ぐため、野球講演家として活動する年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんは、入団前の「説明会」を徹底することを推奨している。数多くの現場を見てきた経験から、大人が歩み寄るための具体的なコミュニケーションの在り方を説く。
学童野球のチームにおいて、入団後に「練習が厳しすぎる」「聞いていた話と違う」といった不満が出る背景には、事前の情報共有不足がある。年中夢球さんは、自身が監督を務めた際に方針を転換したことで、数か月で18人中5人の退部者を出してしまった経験を振り返り、「辞めていった方が悪いんじゃなくて、僕に非があった」と語る。
チーム運営には、スポーツ保険やユニホームといった事務的な説明も必要だが、それ以上に大切なのが「うちはこういう野球をやります」という指導者自身の言葉だ。技術指導の考え方や、試合に臨む姿勢、さらには親の関わり方に至るまで、チームの核となる方針を入団前に正しく伝える義務がある。
年中夢球さんのチームでは、選手の自立を促すために「キャッチボールの後ろに親が立つこと」や「大人がグラウンド整備をすること」をあえて断ったという。こうした具体的なルールも、事前の説明で納得を得ていれば揉めごとにはならない。大切なのは、世の中の風潮に流されず、自分たちの目指す姿を明確にすることだ。
例えば、練習時間についても「今の時代に合わない」と批判を恐れる必要はない。一日中野球に没頭したい親子が集まるチームであれば、それがその組織の正解となる。方針に「良い・悪い」はなく、あるのは「合う・合わない」だ。事前の対話を通じて、互いに納得した上で「一緒に頑張りましょう」と言える関係性が理想である。
練習メニューを考える前に、まずは指導者間でチームの方針を固め、それを常に確認し合うことが不可欠だ。そして、入団前の1時間を惜しまず、誠実に方針を語ることで、選手も保護者も迷いなく野球に打ち込める環境が整う。この一歩が、結果としてチームの団結力を高め、子どもたちの成長を支える土台となるに違いない。
(First-Pitch編集部)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/