吉田輝は「北極星」―毎年印象深い、日ハム大渕スカウト部長の新人紹介の全容
思い入れがたっぷりこもった紹介、思わず選手を思わず「頑張って」と応援したくなる?
11月23日に札幌市内のホテルでドラフト指名した8選手の新入団発表を行った日本ハム。毎年取材していて印象に残るのは、大渕隆スカウト部長が行う選手紹介だ。思い入れがたっぷりこもった紹介を聞いていると、それぞれの選手がどんな野球人生を歩んできたのかが頭にはっきりと浮かんできて、思わず「頑張って」と応援したくなる。
昨年はドラフト1位の清宮幸太郎内野手に背番号21を送った3つの理由が印象的だった。今年はドラフト1位の吉田輝星投手(金足農高)について「マウンド同様、夜空の中心となる北極星となって、北の大地で長く輝き続けることを期待して止みません」という詩的な表現が心に残った。
北極星はいつも真北にあり、暗闇で方角がわからなくなった時、目印になる星。将来の大黒柱としての期待を例える比喩としてしっくり来ると同時に、新鮮な言葉だ。大渕スカウト部長に聞くと「(名前の一文字が)星だなと思っていたら、北極星が浮かんできたんです。中心になる星ですし」とひらめきがあったという。
早大出身で元高校教師という異色の経歴を持つ大渕スカウト部長は、12年にメジャー挑戦を決意していた大谷翔平投手(エンゼルス)との交渉に臨み、日本ハム入団を決意させた立役者の一人だ。
選手をよく見て、よく話を聞いて、大きく育ててあげたいという熱い思いにあふれた大渕スカウト部長の選手紹介。長くなるが、今年の新人8人分を改めて紹介したい。
◯ドラフト1位 吉田輝星投手
「この夏、日本中を沸かせた新しい星です。活躍の様子は皆さんご存知だと思います。聞けば、昨年夏の敗戦後、悔しさをバネにとにかく走り込んだそうです。厳しい冬につくられたその下半身は、これまで見たことのないような太く強靭なものになり、この夏理想的なフォームを完成させました。そのフォームからさらに生まれたのは、ベース上で浮き上がる独自の球質。そして、10試合連続完投を含む1517球を放りきるスタミナ。さらには高校生とは思えないゲーム管理力です。夏に生まれたこの星は、この冬北海道にやって来ました。マウンド同様、夜空の中心となる北極星となって、北の大地で長く輝き続けることを期待して止みません。頑張ってください」