マリナーズ首脳陣からも絶大な信頼 今季3勝無敗の岩隈久志の凄さとポーカーフェイスの下に宿る強い気持ち
安定感のあるピッチングを続けている岩隈
昨年ワールドシリーズ優勝を飾ったレッドソックスのファレル監督は、「コウジをマウンドに呼ぶ時が、もっとも安心できる瞬間だ」と話し、守護神・上原浩治に対する絶対的な信頼度を表現した。今、マリナーズのマクレンドン監督がこの言葉を聞いたら、きっとこう言うに違いない。
「自分がもっとも安心できる時は、クマ(岩隈久志)が先発する日だ」
マリナーズの岩隈久志が快投を続けている。20日のレンジャーズ戦を終えて、今季は3勝無敗、防御率1・76という好成績を残している。正確に言えば、「今季は」という表現は間違いだ。「今季も」と昨季からの継続性を持たせなければならないだろう。14勝6敗でサイ・ヤング賞争いで堂々の3位入賞。ア・リーグ15球団の全投手の中で、シャーザー(タイガース)、ダルビッシュ(レンジャーズ)に次ぐ3位に選ばれたのだから、たとえ受賞を果たさなくても、評価の高さに大きく胸を張っていい。
フォーシームとシンカーの速球系に加え、切れ味抜群のスプリット、打者の目先を変えるスライダー、カーブを、投げたい場所にピンポイントで制球する。「どの球種でもストライクを奪える」と太鼓判を押すのは、マリナーズのウェーツ投手コーチだ。
「ピッチングの基本は、速球の制球力。加えて、何か一つ絶対的な球種を持っていると、普通のいい投手から素晴らしい投手にステップアップできる。クマの場合は、どの球種もしっかりと制球できる上に、天下一品のスプリットがある。クマが頭抜けた存在になっているのは、スプリットがあるからだ」