今年ブレイク必至 恩師が語るオリックス吉田正尚、フルスイングの秘話
「守備も足も肩も」平凡だった高校時代、それでもスカウトした理由
昨シーズン、球団史上31年ぶりとなる新人で2ケタ10本塁打を放ったオリックス・吉田正尚外野手。4月に負った腰椎椎間板症で出場は63試合にとどまったが、シーズン終盤に持ち味の豪快なフルスイングで本塁打を量産。オフに参加した台湾ウィンターリーグでは、打率、安打、本塁打の3冠となり、ズバ抜けた成績で最優秀選手を獲得した。なぜ、吉田は173センチの体でアーチを描けるのか。青山学院大野球部で1~3年時にコーチ、4年時から監督として指導した善波厚司監督(49)に、今年ブレイク必至の教え子のスゴさを聞いた。
吉田は福井県の強豪、敦賀気比高から青学大に進学した。173センチと小柄だが、スイングの強さは高校時代から目を見張るものがあった。そのスイングに注目したのは、青学大のスカウトを担当していた秋田商の元監督、小野平氏だ。小野氏は秋田商から青学大に進学した石川雅規(現ヤクルト)を高校時代に指導していた。善波監督は当時を、こう振り返る。
「高校の時から強く振れるバッターでした。守備が上手いわけでもない、足が速いわけでも、肩が強いわけでもない。それでも、高校生であれだけ強く振れる打者はいないとスカウトしてこられたようです」
東都大学リーグの伝統校に進学した吉田は、入学当初からプロを目指していた。
「野球部の入寮式で新1年生があいさつをするのですが、ほとんどが『早くチームに溶け込めるように』とか『早く戦力になれるように』とか言う中で、正尚だけは『青学に、プロに行くために来ました』と言ったんです。入学当初からプロ志向は強かったですね」
プロ入りを有言実行する。そのための探求心も並外れたものがあった。2年生の頃から、重いバットや長いバットなど、さまざまな種類のバットを使って練習していたという。