“米国留学”と“自宅ブルペン”と…プロ入りを目指す18歳右腕の前代未聞の挑戦

佐藤圭祐投手(左)と野口寿浩氏【写真:編集部】
佐藤圭祐投手(左)と野口寿浩氏【写真:編集部】

「ハングリー精神の欠片もなかった」右腕に何が? 異色のキャリアでプロを目指す佐藤圭祐投手

 超異色のキャリアでプロ野球選手を目指す18歳がアメリカで奮闘している。現在、米フロリダ州のIMGアカデミーでプレーする佐藤圭祐投手は、昨年3月に成城学園高校を卒業。その直後にプレーする場所を求めて単身で海を渡った。一時帰国した際には都内の自宅にある“ブルペン”で“家庭教師”の元プロ捕手を相手に投球練習を行ってきた。恵まれた家庭に育ち、母親が「ハングリー精神の欠片もなかった」と表現する右腕だが、今は貪欲にプロを目指している。いったい何があったのだろうか。

 佐藤は小学校3年生の時に友達に誘われ、野球を始めた。「3年間で全部合わせて10勝もできないようなチーム」でプレーし、中学進学後はボーイズリーグに加盟していた成城学園中の部活に入ったが、「そこも全然勝てない弱いところだった」。さらに、成城学園高でも公式戦で「全部合わせて3勝くらいしかできなかった」という。幼少期からピッチャーだった佐藤の高校2年生までの最速は126キロ。とてもプロを目指すキャリアを歩んできたようには見えない。だが、その考えは一冬で大きく変わった。

「高2の秋の大会が終わったあたりから、知り合いの野球経験者の方がトレーニングのメニューを考えてくれて持ってきてくださって、それをやって、ウエートトレーニングもやっていたら、スピードが上がっていきました。(自分でも)驚きました。高3になる前の冬で球速がMAX142キロくらい出せるようになって、ちょっと真剣にやってみようかと思って」

 元々、身長187センチと恵まれた体格を誇る。トレーニングの成果もあり、体重は高2から高3で10キロアップして86キロに。高3春頃から大学で野球を続けることを考え始め、「せっかく大学までやるのなら、目指してみようかなという感じでした」とプロも意識するようになった。高3夏の大会は、本番4日前に肉離れしてしまった影響で実力を発揮できず、7回10安打7失点で初戦敗退。不完全燃焼に終わったことで、「これで野球を終わりたくない」という気持ちはさらに強くなった。

 ところが、希望していた大学進学がうまくいかず、野球をプレーする場がなくなってしまう。その時に浮上したのが、IMGアカデミー行きだった。実は、佐藤の弟・卓郎は毎冬、IMGアカデミーでトレーニングを行うアマチュアゴルフ界の超有望株。そのつながりもあり、佐藤の映像や体のサイズをIMGアカデミーに送ったところ、「卒業式の次の日に来てほしい」と野球部門の監督から連絡があった。決め手の1つとなったのは、「お尻の大きさ」だったという。

佐藤のボールを受ける元プロ捕手の野口寿浩氏「このくらいなら2軍にいるぞ」

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