寝る子は育つは本当? コロナ禍で身長が伸びる例も…改めて考えさせられる生活習慣
慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師に聞く
【教えて!古島先生3】
新型コロナウイルスの感染拡大で、小中学生の野球少年少女たちにも影響を与えた。一時は活動自粛を強いられるチームも多かった。野球における肩肘の障害を専門とする慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師のもとには、この自粛期間中に「背が伸びた」という球児に出会ったという。名医による連載「教えて!古島先生」第3回では「本当に“寝る子は育つ”のでしょうか?」という疑問に迫った。
4月16日に全国に緊急事態宣言が発令された後、外での活動は制限され、野球をする子どもたちは自宅や公園で軽めの練習を行っていた。所属チームの厳しい練習がなくなったり、長い通学時間がなくなったり、中には普段よりも長く睡眠時間を取っていた球児もいる。
5月のある日、リハビリで通院する高校球児と話をする中で、古島医師は興味深い現象に気が付いたという。
「世間話をいろいろする中で、ある子に『背が伸びたんじゃないか?』って聞いたんです。すると『自分では分からない』と。いつから身長が伸びていないのか聞いたら『もう高校に入ってからずっと身長は伸びていません』って言うんですね」
高校入学時に170センチだったという球児は、思い返すと中学3年生の時も170センチ。3年間も身長が伸びていなかったはずだが、古島医師が計測したら「172.6センチ」だったという。
「2.6センチ伸びたって、本人もビックリしてました。このコロナ禍で結構、家で寝る時間が増えて、ゴロゴロすることも多かったようです」
これをきっかけに、外来で訪れた高校生5人に身長の話をし、計測してみると、なんと5人全員の身長が伸びていた。
「高校に入ってからも身長が伸びる。止まったと思っていても、休養や睡眠時間が多くなったことで伸びたのかなと推測していますが、面白い現象なので、これらかも調査してみたいですね」
睡眠や休養が成長を促すのでは……。そう感じたのは、2018年に2度、ドミニカ共和国を訪れたことがきっかけだった。動画ではその理由についても語られている。
史上初となる春夏の甲子園が中止となったが、各都道府県での代替試合、そして選抜出場チームは甲子園球場での交流試合が決まった。自粛期間中に諦めずトレーニングを続けた高校球児たちは再び目標を得ることができた。