清宮、「強打」の甲子園後も揺らがぬ評価 「彼の本塁打は“ブーム”でない」
甲子園で本塁打増も早実・清宮のレベルは「違う」、専門家が見る「凄さ」
第99回全国高等学校野球選手権大会は花咲徳栄(埼玉)の初優勝で幕を閉じた。今夏の大会で大きな話題となったのが、高校球児たちの「打力」。全48試合で通算68本塁打が飛び出し、2006年の第88回大会で記録された史上最多大会通算本塁打数60本を大幅に更新。準優勝となった広陵(広島)の中村奨成捕手は、1985年に清原和博(PL学園)が残した1大会の通算最多本塁打記録(5本)を更新する6本塁打を放ち、一躍、今秋ドラフトの最注目選手の一人となった。
ただ、大会前に最大の注目を集めた男は、甲子園にはいなかった。史上最多タイ記録の高校通算107本塁打を放ってきた清宮幸太郎内野手擁する早実は、西東京大会決勝で東海大菅生に完敗。世代NO1と言われ続けたきた強打者がいない聖地で躍動した選手たちが、強烈な存在感を見せつける形となった。
それでも、清宮に対するプロの絶大な評価は揺らがない。
名将・野村克也氏の“右腕”としてヤクルト、阪神、楽天でヘッドコーチや2軍監督を務め、鳴り物入りでプロ野球の世界に飛び込んできた若手選手も数多く指導してきた松井優典氏は、清宮について「彼は甲子園でホームランが増えたというのとは全く違う“分野”でホームランを量産した選手」と表現する。その打撃は違うレベルにあるというのだ。
「清宮君のホームランは技術(の結果)だと思います。これだけ甲子園でホームラン、ホームランと騒がれている。一方で、清宮君は高校に入ってから107本を打った。でも、誰も清宮君も“ブーム”でホームランを打ったとは捉えていません。『彼が打ったんだ』と思っています。私は技術で打っていると思っています」
例えば、広陵の中村は清宮の“専売特許”だった「本塁打数」で甲子園に新たな歴史の1ページを刻んだが、同選手と清宮の違いは何か。松井氏は、中村について「(プロでも)即戦力です」と絶賛しているが、清宮の凄さは全く別の部分にあるという。