ホークスが誇る「キング・オブ・クローザー」サファテが歩む前人未踏の道
3点以下の点差すら、大きなギャップに思わせる鉄壁の壁
福岡ソフトバンクが3点以下のリードを握って迎える9回表。必ずと言っていいほど、ヤフオクドームに響き渡る歌がある。Newboysの「The King is Coming」。その伸びのある男声とともに、巨大なホークスビジョンに「THE KING OF CLOSER」の飾り文字が躍り、軽やかにリズムを刻む。そしてマウンドに現れる、福岡ソフトバンクの絶対的守護神。
僅差のビハインドで迎える9回表は、ビジターチームにとっては最後の攻撃のチャンスだ。打者は凄まじい集中力をもって抑え投手に食らい付く。実際にここで追い上げ、9回裏または延長戦にもつれ込むケースは、さほど珍しくない。しかし「キング・オブ・クローザー」の名が高らかにコールされた時、3点以下の点差を詰めるということが、ひどく途方もないことのように感じられる。そしてそれは、決して錯覚ではない。
福岡ソフトバンクの守護神・サファテ投手が、9月5日、京セラドーム大阪のオリックス戦、1点リードの11回裏に登板し、オリックス打線を3者凡退に抑えて今季47セーブ目をマークした。これは、シーズン最多セーブの日本プロ野球記録を更新する快挙である。
7月5日のオリックス戦では、史上6人目となる通算200セーブの偉業を達成し、8月31日の北海道日本ハム戦では、自身の持つリーグ記録を上回る44セーブをマークするなど、立て続けに大記録を打ち立てているサファテ投手。シーズン50セーブ到達も視野に入っており、ここからは1つセーブを成功させるたび、毎回新記録を更新するということになる。サファテ投手は今まさしく、未だかつて誰も辿り着いたことのない境地に立っている。