日本でトミー・ジョン手術にかかる費用は高い?安い? 肘の権威が明かすお値段は…
肘の権威・古島医師と元阪神・藪氏が対談、米国ではTJ手術を受ける選手が多いが…
近年はプロだけでなく、アマチュア選手も肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けるケースが多くなってきている。復帰まで約1年を要するだけに、育成年代の選手にとっては特に大きな決断となるが、もう1つの懸念材料となっているのは、手術にかかる費用ではないだろうか。
Full-Countでは、これまで計700件以上の肘内側側副靱帯再建手術を執刀した慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師と、元阪神エースでメジャー経験も持つ藪恵壹氏のオンライン対談を実施。その中で、古島医師は日米で違いのある“トミー・ジョン手術事情”について明かし、費用面についても言及している。
米国では、メスを入れるという決断への“ハードル”が低いとされるトミー・ジョン手術。実際に米国の病院を見学した古島医師は、日本よりもトレーナーの意向が強く反映されることを感じたといい、「日本だったら手術しないだろうな、というのも手術してしまう」印象を持ったという。もちろん、これはトミー・ジョン手術に対する信頼度が高いことも理由の1つだろう。
さらに、手術を受けるためにかかる費用については、例えばメジャーリーガーと高校生では“差”があると指摘。そのため、高校生でも手術を受けやすい環境があるというのだ。
「今、米国ではトミー・ジョン手術をできる医師が増えていて、特にメジャーリーグの選手を手術して治すと有名になります。そうすると、そのドクターのところに手術希望者が増えて、一気に儲かるんですね。アメリカでは病院やドクターが独自に手術の値段を設定できるんですよ。日本では診療報酬は国が定める公定価格なので、私が手術をしても、師匠にあたる伊藤恵康先生がやっても、1年目の医者がやっても同じ値段です。なので、アメリカでは今、スポーツドクターがすごく人気のある職業になりました。アメリカのドクターは、高額年俸を稼ぐメジャーリーグの選手に対しては高い手術費用を設定して、高校生は安くするなど、差を付けているんですよね」
では、日本ではどうか。古島医師は言う。
「医療費としては、手術費や入院費などを合わせて60~70万円はかかると思うのですが、保険が適用されて(実際の支払いは)3割とか2割になるので、10万から20万円くらいでできるんです」
日本の高校生でも、費用面だけで言えば、実は決して手術への“ハードル”は高くない。それでも、実際に受ける人は米国よりも少ないという現状があるようだ。一方で、肘の故障については、育成年代での疲労や故障歴が大きく影響しているという現実も……。
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