西武・栗山が得た「着想」 「リアル野球盤」に込める思いとは
栗山はなぜ「リアル野球盤」を企画したのか―「この先がすごく楽しみ」
雲ひとつない青空に、ファンファーレが鳴り響いた。グッとバットを握り締め、打席に向かう背中を、応援歌が送り出す。
まるでプロ野球のデーゲームのような光景だ。だが明らかに違う点がある。打席に立つのは、チームに属して野球の練習をしたことがない小学生だった。勝手が分からず、戸惑う様子の子どもたちに、張りのある声が飛ぶ。
「ええんやで!思い切り振るだけでええ!」
にこっと笑って、手をたたく。声の主は、ベンチの前の背番号1。西武の栗山巧外野手だった。
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今月3日、兵庫・三木総合防災公園野球場。栗山は例年通り、野球少年たちを集め「栗山杯」を開催した。
7回目となる今回は、大会後に少し変わった趣旨のイベントを準備していた。「みんなでリアル野球盤をしよう」。そう銘打たれた告知には「男女の性別や障がいの有無、野球経験を問わず」と付け加えられていた。
「みんなで野球を楽しめる場がつくれないかな。そう考えていたんです」
意図を聞くと、栗山は熱っぽく説明を始めた。