新人王に輝いたDeNA山崎 「小さな大魔神」に影響を与えた2投手の存在

毎日眺めていた投球フォームの連続写真

 もともとツーシームは東浜が持ち球としていた。通算420奪三振、22完封という東都大学リーグ新記録を打ち立てた大エースの技術を九里が盗み、九里の技術を山崎が盗んだ。こうして勝負球をはじめとして、山崎はエースとしての心構えなど、多くのものを学んだ。

 そんな象徴的なエピソードがある。山崎は「自分の部屋の机に東浜さんと九里さんの投球フォームの連続写真を貼って毎日眺めていたんです」と言う。それも2人が卒業した後のこと。グラウンドを離れた自室でも常に2人を強烈に意識していた。

 先輩と同じように勝負球を磨いた右腕は、3年夏に大学日本代表に選出されると「国際大会では、いかに落ちる球を操れるかが鍵になる」と掲げた日本代表・善波達也監督に見出され、守護神に抜擢。日米大学野球選手権では最優秀投手を受賞し、当時からクローザーとしての素養を見せつけていた。

 亜大の練習場では、エースがブルペンの右奧を使う「エースの伝統」があり、山崎も先輩2人が汗を流してきた場所で投げ込み、4年間の成長につなげてきた。2つの大きな背中がなかったら、その成長曲線はもう少し緩やかだったかもしれない。

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